SPXLの長期保有はやめとけと言われる理由は?買い時はいつかを解説

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

S&P500は日本で最も人気なインデックスだと思っています。
この記事ではS&P500に連動するレバレッジ型ETFの「SPXL」とインバース型ETFの「SPXS」を紹介します。

個人的にはレバレッジ型(インバース型)の商品は(特に初心者の方には)あまりおすすめしていません。ただし、使い方次第ではリスクヘッジにも使える商品ですので、使い方や買い時なども紹介していきます。

SPXL/SPXSの特徴
SPXL/SPXSの特徴

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目次

SPXLを長期保有する危険性

SPXLとSPXSは、S&P500の動きに連動しています。どちらも日々の変動率の3倍の動きを目指しています。

SPXLはS&P500が上昇すれば上昇します。SPXSはS&P500が上昇すると下落します。逆にS&P500が下落すれば上昇します。

インデックスとなる指標が上昇した時にx倍上昇するものをレバレッジ型(ブル型)、インデックスとなる指標が下落したらx倍の上昇するものをインバース型(ベア型)のETFといいます。
今回でいうとSPXLはレバレッジ型SPXSはインバース型のETFです。

注意が必要なのは、最終的な価格変化の3倍というわけではなく、日々の変動率の3倍という点です。これは、価格の上下を繰り返すほどレバレッジ型(インバース型)は不利になるということを意味しています。

具体的にはこうなります。仮に1日目に株価が下落して2日目に株価が戻る値動きをしたと仮定します。この場合、レバレッジをかけていないインデックスは株価が動いていませんが、レバレッジをかけた指数は株価が戻らず下落しています。

上がってから下がる逆の動きをするときも同様なので、これが繰り返されるほどレバレッジ型(インバース型)のETFは下落していくということです。

1日目2日目
指数ー20%+25%
レバレッジ指数ー40%+50%
日々の値動き
1日目2日目
指数ー20%0%
レバレッジ指数ー40%ー10%
基準日からの値動き
指数が下落してから上昇した場合

詳しくはこちらの記事で解説しますので、参考にしてください。

つまり、SPXLもSPXSも長期投資には不向きな商品だということは理解しておく必要があります。

SPXLとSPXSの比較

SPXLとSPXSについて詳細を見ていきましょう。

SPXLの運用会社はDirexion(ディレクション)

SPXLもSPXSも運用会社はDirexion(ディレクション)です。1997年に設立されたETF運用会社で主にレバレッジやインバース型などの一般的に言えばリスクが高めのETFを中心に運用しています。

SPXL、SPXSのほかに、日本でも有名なETFでは、「TECL(デイリーテクノロジー株ブル3倍ETF)」や「SOXL(デイリー半導体株ブル3倍ETF)」などもDirexionが運用しているETFの1つです。

SPXL(Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF)の概要と株価チャート

基準価額(米ドル)74.00 (2023/4/20)
純資産総額(百万米ドル)2,734.94 (2023/03/31)
分配回数/年4回
分配利回り0.63%
経費率0.88%
設定日2008/11/05
SPXLの基本情報(2023/4/22時点)

参考:Direxion社「SPXLSPXS」

分配利回りが低く、経費率はかなり高い(比較:VOOの経費率は0.03%)ことも長期の投資には向いていないといえます。

SPXLの株価チャート

下のチャートはSPXLの過去5年間のチャートです。基本的にS&P500の動きと同じ動きをしますので、米国の株式市場が上がれば上がります。直近の5年でいえば、2020年のコロナショックで大きく下げた後に大きく反発し、2022年は再度下落しています。

SPXLの過去チャート
SPXLの過去チャート

下のチャートはVOO(青線)との比較です。上のチャートは騰落率、下のチャートは価格で比較しています。価格で比較するとそれほど大きく動いていないように見えますが、騰落率で比較するとSPXL(上チャートの赤線)は大きく動きます。

VOOはS&P500に連動するETFなので、S&P500と比較しているのと同じ意味です。

VOO(青線)との比較 (上:騰落率)(下:価格)

SPXS(Direxion デイリーS&P500ベア3倍 ETF)の概要と株価チャート

基準価額(米ドル)17.53 (2023/4/20)
純資産総額(百万米ドル)1,034.99 (2023/03/31)
分配回数/年4回
分配利回り1.33%
経費率0.95%
設定日2008/11/05
SPXSの基本情報(2023/4/22時点)

こちらも分配が少なく、経費率が高いので、長期より短期投資の取引商品といえます。

SPXSの株価チャート

SPXS(赤線)の過去5年間のチャートです。S&P500とは逆の動きをします。(下のチャートはSPXL(緑線)、VOO(青線)を追加しています)

SPXSの過去チャート
SPXSの過去チャート

2021年以降ほとんど動きがないように見えますが、2022年以降にフォーカスしたのが下のチャートです。

2022年以降のチャート
2022年以降のチャート

直近の騰落率は、年初に対してVOOが約20%下落、SPXSが50%上昇しています。SPXSなベア3倍ETFですが、つねに3倍の価格になるになるわけではないところには注意しましょう。

SPXL・SPXSのメリットとデメリット

デメリットは上でも説明しましたが、メリットもあるので両方理解しておきましょう。

メリット

SPXL・SPXSのメリット
  • S&P500というわかりやすいインデックスを利用している
  • 短期で大きくリターンを狙える可能性がある

S&P500は米国を代表するインデックスなので、様々な経済指標が出たときにどのような動きをしやすいのかよく分析されています。そのため、SPXLは比較的動きの読みやすいETFと言えると思います。

また、3倍ブル(SPXSはベア)ですので、大きなリターンを狙えることは間違いないです。長期投資が危険なのは説明した通りなのですが、S&P500が確実に上向くという自信があれば、短期運用で効率よくリターンを増やすことができるかもしれません。

デメリット

SPXL・SPXSのデメリット
  • 想定の逆に動いたときの損失が大きい
  • 長期投資では資産が目減りしていく可能性が高い

1つ目のデメリットはメリットの裏返しですが、損失も大きくなることです。もう一つは上でも説明した通り、長期で投資するほど損失が大きくなる(株価が戻らない)ことです。基本的に初心者には難しいETF商品だと思います。

SPXLやSPXSの買い時はいつか?

レバレッジ型でもインバース型でも長期投資には向いていません。ボックス圏内で上げ下げすると基準のインデックスより下落することになるからです。そのため、どちらか一方に動き続けるような相場は買い時となります。

さらにいうと、多くの投資家(特に投資初心者の方)は基本的に株式投資をするときは買いから入ることが多いと思います。

個別株やパッシブ運用のETFを運用している場合、SPXLが上昇する局面では、保有している銘柄も上昇する確率が高いはずです。その意味では、SPXL(S&P500と同じ動きをする)はリスク分散にもならず、リスクを負って購入するメリットはありません。

SPXSならリスクヘッジに使ってもいい

では、SPXSはどうでしょうか。

個人的にはSPXSはリスクヘッジとして短期保有(数カ月程度)してもいいと考えています。特にVOO、VTI、VTといった銘柄のリスクヘッジには効果的だと思います。(ただし、そんなにおすすめはしませんが)

投資信託でいえば、S&P500連動や全米株式、オールカントリーといった商品も同様

これがなぜかというと、NISAつみたてNISAを利用していると下落局面で売却しにくいため、逆の動きをする商品で損失を相殺させたいからです。

国内で購入できるインバース型ETFである「NF日経ダブルインバース」についてこちらの記事で解説しています。

買い時はいつか?

SPXS(インバース型)を買うなら雇用統計が弱い数字が出た時が買い時のシグナルではないかと考えています。

現在は金利(利上げがピークに近づく)債券市場(逆イールドの発生から解消)企業の決算悪化などリセッション(景気後退)が起こりそうな兆候が見えてきました。

あとは、CPI(インフレ)と雇用が弱くなれば、一気にリセッションに傾く可能性があります。リセッションが発生すれば株式市場は大きく下落するはずです。2023年の中頃には米国株式市場は下落するのではないかと考えています。株式市場が下がった場合に上がる商品を持っておくと安心です。

最近では金ETFなんかもいいかなと考えるようになりました。いくらかの割合は保有していてもよさそうです。

まとめ:手を出さないほうがいい商品だがリスクヘッジに使うのはあり

正直、レバレッジ型(インバース型)は扱うのが難しい商品だと思います。

ただし、うまく利用すれば効率的に資産を殖やすことができますし、損失を相殺することもできます。特に通常と逆の動きをするSPXSはリスクヘッジとしてうまく活かしたい商品です。

ありがとうございました。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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