SOXLの株価は今後どこまで下がるのか?SOXLの長期保有が危険な理由を解説!

レバレッジ型のETFは大きなリターンが狙えると聞きました。
本当ですか?

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です

この記事ではSOXLやTECLの特徴と、そもそもレバレッジ型の仕組みを説明してこのような疑問を解消します。

結論から言うと、レバレッジ型のETFである「TECL」や「SOXL」は大きなリターンが狙える可能性があります。

ただし、(特に長期だと)リスクも大きくなるため、十分な知識がなく投資をすることはおすすめしません。特に現在は、米国経済のリセッション(景気後退)の可能性が極めて高く、リスクが大きいです。

事実、2022年の年初来から12月22日現在まででSOXLは約85%(最大時は90%近い)下落しています。2023年以降も米国のリセッション懸念が高いと考えれば安易に考えるべきではありません。

出典:Tradingview SOXLの年初来チャート
出典:Tradingview SOXLの年初来チャート

それでも投資をするのであれば、十分検討して短期間少額で実施するのがよいでしょう。

この記事でわかること
  • レバレッジ型・インバース型のETFとは何か?
  • TECL、SOXLの特徴 構成銘柄や過去の値動き
SOXL・TECLの特徴
SOXL・TECLの特徴

この記事では特定のETFの説明をしていますが、その商品をすすめているわけではありません。
投資をする際は十分に調査をして、ご自身の責任で行ってください。

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目次

SOXL(レバレッジ型ETF)の特性と長期保有リスク

レバレッジが聞いたイメージ図

TECL(Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF)SOXL(Direxionデイリー半導体株ブル3倍ETF)は、日本語の名称にもある通り、特定の指数のx倍の動きをします。

x倍の動きになるとは具体的にどのようなことか解説します。
まずはレバレッジ型インバース型のETFがどのようなものかざっくりでよいので覚えてください。

レバレッジ型とインバース型のETFとは

レバレッジ型(ブル型)のETFは、その指数が上昇したらx倍の上昇をするETFです。一方インバース型(ベア型)のETFはその指数が下落したらx倍の上昇をするETFです。

具体的な商品の一例をあげてみます。

レバレッジ型・インバース型の商品例
  • Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF(TECL)
  • Direxionデイリー半導体株ブル3倍ETF(SOXL)
  • Direxionデイリーテック株ベア3倍ETF(TECS)
  • Direxionデイリー半導体株ベア3倍ETF(SOXS)

TESLとTECSはどちらもテクノロジー・セレクト・セクター指数というインデックスと連動します。TECLはこの基準指数が当日10%上昇すれば、その3倍(つまり30%)上昇します。TECSの場合、この指数と逆方向に3倍の動きをすることになります。

ブル=レバレッジ型、ベア=インバース型というわけですね。

東証で購入できるインバース型ETFの「NF日経ダブルインバース」についてこちらの記事で解説しています。

SOXL長期保有の危険性 x倍はリターンが常にその数字になるわけではない

x倍のレバレッジがかかっているETFは、指数ETFのリターンから常にx倍になるわけではありません。このx倍は日々の変動率に対してx倍になることを目指しています。その為、2日以上にまたがる場合にはx倍にならないことは絶対に理解しなくてはいけません。

指数の2倍になるレバレッジ型ETFで具体的な数字で確認してみましょう。

指数が下落して上昇した場合

指数が下落してから上昇した場合はどうなるでしょうか。1日目に20%下落して、2日目に25%上昇、トータルとしては基準日に戻った場合で見てみます。2倍のレバレッジとした場合、1日目は40%下落、2日目は50%上昇することになります。

指数基準日1日目(騰落率)2日目(騰落率)
基準インデックス10080(-20%)100(+25%)
レバレッジ指数10060(-40%)90(+50%)
日々の値動き
基準インデックスとレバレッジの株価推移
基準インデックスとレバレッジの株価推移

グラフをみてわかる通り、基準インデックスは2日後に基準日の価格に戻っています。
一方、レバレッジ指数では90%の位置までしか戻せていません。

指数が上昇してから下落した場合

指数が上昇してから下落した場合も株価は基準インデックスよりも下落します。1日目に25%上昇して、2日目に20%下落、トータルとして基準日に戻った場合です。

指数基準日1日目(騰落率)2日目(騰落率)
基準インデックス100125(+25%)100(-20%)
レバレッジ指数100150(+50%)90(-40%)
日々の値動き

こちらの場合も基準インデックスの株価は100に戻りますが、レバレッジ指数は100を通り越して90まで下落するため、基準インデックスを下回ります。

この2つケースから言えることは、レバレッジ型(インバース型)のETFは価格の上下に弱いということです。

結論:SOXLは長期保有だとリスクが高い

上の説明で、レバレッジ型のETFは価格の上下に弱いことがわかりました。

通常株価は上がったり下がったりするものです。長期で見たときには結果として成長している場合でも、期間を細かく見れば上下を繰り返しています。つまり、レバレッジ型ETFは長期投資には向いていません。

レバレッジ型(インバース型)ETFの取引期間は短期間にすることが重要です。一方的に動く相場でこそ有利に働きます。

SOXLの今後の株価の見通しは?株価はどこまで下落するのか?

SOXLの元になっているインデックスはICE セミコンダクター インデックスと呼ばれる半導体関連の指数です。今まではSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が利用されていましたが、2021年8月から変更になりました。

年初来から半導体銘柄は上昇している銘柄もある

このインデックスの構成銘柄は下のSOXLで紹介しているのでそちらを確認してもらうとして、構成上位にある銘柄でも特筆すべきはNVIDIA(エヌビディア:赤ライン)です。この銘柄は有名なので聞いたことがある人も多いと思いますが、2023年になってから急激に株価が上昇しています。

インデックス構成上位銘柄の年初来株価推移
インデックス構成上位銘柄の年初来株価推移

では、半導体関連銘柄が2023年の予想が明るいものなのかというと、そんなことはありません。世界半導体市場統計(WSTS)という組織が発表している内容では2023年は半導体は厳しくなると見込んでいます。

JEITA 一般社団法人 電子情報技術産業協会「世界半導体市場統計(WSTS)」

実際に23/2/23に発表されたエヌビディアの23年01の通期決算は大きく減益となりました。それでも株価が伸びているのが難しいところですが。。

エヌビディア(NVDA)の決算推移
エヌビディア(NVDA)の決算推移

2023年は株価が下落するリスクは高い

レバレッジ型ETFは株価上昇時には急激に上昇しますが、株価下落時には恐ろしいほどの速さで損失が膨らみます。

現在、米国市場はインフレ抑制のため、利上げが頻繁に行われています。ソフトランディングの可能性も上がっていますが、個人的にはリセッション(景気後退)の確立は高く、S&P500ははさらに下落をする可能性が極めて高いと予想しています。

23年2月の経済指標が軒並み好調だったことを受けて、政策金利は5.5%程度まで上昇する可能性が高くなってきました。インフレ率の鈍化が続けば政策金利が高止まりする可能性もあり、FedWatchツールによれば、米国の利下げは24年になってからという予想が主流となっています。

23/3/5時点 FedWatchツール

CME Group FedWatchツール

現在は想定よりも米国の景気が踏みとどまっていますが、どちらかというと景気後退が後ろ倒しになっていると考えています。

米国の今後についてはこちらの記事で紹介していますので興味があれば見てください。

今後も考えた場合、この局面でレバレッジ型のETFを長期保有するのはリスクが大きいです。

現在であれば、どちらかを持つならインバース型のETF(TECSやSOXS)を選択したほうがよさそうですが、この記事で紹介した通りそもそもレバレッジをかける商品はおすすめできませんので自己責任で投資しましょう。

SOXLとTECLの比較

SOXLTECLは、どちらもレバレッジ系のETFです。SOXLは半導体関連でTECLは情報技術関連の銘柄を組み入れています。構成銘柄は過去の株価チャートがどう違うかを比較してみます。

SOXLの構成銘柄や株価チャートを紹介 SOXSとの比較

SOXL(Direxionデイリー半導体株ブル3倍ETF)について解説していきます。SOXLのベア型のETFはSOXS:Direxionデイリー半導体株ベア3倍ETFです。

SOXLの基本情報

SOXLもDirexion社が運営するETFです。ICE セミコンダクター インデックス (ICESEMIT) という指数の300%のパフォーマンスを目指しています。

ICE セミコンダクター インデックスは半導体の設計・製造・流通・販売を手掛ける企業の株式で構成されており、半導体関連の代表的な指数です。

基準価額(米ドル)15.04 (2023/03/2)
純資産総額(百万米ドル)4,726.22(2023/02/28)
分配利回り0.69%
経費率0.77%
設定日2010/03/11
騰落率(1年)▲63.16%
SOXLのETF情報(2023/3/5時点)

分配利回りは少額ですがゼロではありません。経費率は低くはありませんが、レバレッジ型としては適正な水準といえます。

ただし、半導体関連銘柄は非常に厳しい状況が続いています。半導体自体の状況だけでなく政治的な駆け引きなどもあるので、楽観視はしないほうが良いかもしれません。

SOXLの構成銘柄

構成上位10銘柄は以下の通りです。

銘柄割合
Broadcom Limited9.06
Texas Instruments8.18
Nvidia7.71
Qualcomm6.04
Advanced Micro Devices5.80
Kla Corporation4.28
Analog Devices4.26
Nxp Semiconductors4.01
Lam Research3.97
Applied Material3.97
出典:構成銘柄上位10位(2023/3/5時点)
インダストリー割合
半導体79.92
半導体装置20.08
セクター内の割合

Direxion :SOXL SOXS

個別の構成銘柄としてはTECLほど上位の占める割合が大きくはありませんが、半導体関連のみで構成されています。
その為、半導体市場が傾くと非常に危険な商品です。

半導体は過去好調でしたが、現在はかなり不調で、来期以降についても厳しい予想がされています。

SOXLの株価チャート

SOXLの過去5年間の株価チャートです。

出典:Tradingview SOXLの株価チャート(5年)
出典:Tradingview SOXLの株価チャート(5年)

上の赤がSOXL、緑線がSOX、青線がS&P500です。SOXLの変動率がかなり大きいことがわかります。上昇するタイミングで短期的に取引することが重要です。

SOXフィラデルフィア半導体株指数という主要な半導体企業30銘柄で構成されたSOXLが連動している指数です。

TECLの構成銘柄や株価チャートを紹介 TECSとの比較

次はTECLの具体的な話をします。
ちなみにTECLの逆、ベア型のETFはTECS:Direxionデイリーテック株ベア3倍ETFです。

TECLの基本情報

TECLはDirexion社が運用する情報技術セクターがメインのETFです。

テクノロジー・セレクト・セクター指数の300%のパフォーマンスを目指しています。レバレッジをかけていないETFはXLK(テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド)などがあります。

テクノロジー・セレクト・セクター指数は、S&P500指数の中でもコンピュータ・周辺機器、ソフトウェア、通信機器、半導体・半導体製造装置、情報技術サービス、電子装置・機器・部品の業種に属する企業から構成されています。

基準価額(米ドル)33.19 (2023/02/15)
純資産総額(百万米ドル)1,059.98 (2022/09/30)
分配利回り0.15%
経費率0.90%
設定日2008/12/17
騰落率(1年)▲48.28%
TECLのETF情報(2023/2/17時点)

分配がないので、キャピタルゲインを狙う商品です。
経費率は0.90%なので、このETFだけを見ると低くありませんが、S&P500のレバレッジ型ETFであるSPXL(Direxion デイリーS&P500ブル3倍 ETF)も0.90%だと考えると、レバレッジ型としては適正水準といえるでしょう。

現在株価は持ち直してきましたが、1年間の騰落率が約50%下落となっており、株価が下落するタイミングでの取引がどれだけ怖いかわかります。

TECLの構成銘柄

上位構成銘柄は以下の通りです。

銘柄割合
Apple24.55
Microsoft22.43
Nvidia4.13
Visa Incorporation3.81
Mastercard3.18
Broadcom Limited2.33
Cisco2.08
Accenture Plc-A2.07
Adobe Inc2.03
Salesforce.Com1.93
出典:direxion 構成銘柄上位10位(2022/9/25時点)
インダストリー割合
ソフトウェア33.56
テクノロジー ハードウェア・コンピュータ記憶装置・周辺機器25.66
半導体・半導体装置19.13
ITサービス16.43
通信機器2.96
電子機器など2.27
情報技術セクター内の割合

アップルやマイクロソフト、エヌビディアなど、日本でも有名な企業で構成されています。
この3社で約50%を占めていますね。

かなり偏った構成ですので、このセクターが傾くとこのETFも大きく値を下げることになります。

TECLの過去チャート

こちらがTECLの過去チャートです。

TECLの過去チャート(5年)
出典:Tradingview TECLの過去チャート(5年)

一番上の青線がTECLのチャートです。他に、オレンジと緑のほぼ重なっているものが、VGTXLKです。
VGTは情報技術セクター特化のETF、XLKはTECLのインデックス指数レバレッジなしです。一番下にある黄色線はS&P500です。

TECLの変動率がいかに大きいかがわかると思います。
このチャートを見て「TECLって儲けれそうだな」と思った方は危険です。

上のチャートは過去5年間の推移を出しています。2020年あたりから猛烈な上昇を見せましたが、2022年からのわずか数カ月で三分の一程度まで下落しています。2021年以降に購入して保有している人はほぼ含み損になっていると考えてよいでしょう。

出典:Tradingview TECLの過去チャート(1年)

直近1年だとチャートはこのように変わります。いかに上げ相場を見極めることができるかが重要だということがわかります。

SOXLに投資するメリットとデメリット

SOXLやSOXSに投資すると、このようなメリットやデメリットがあります。

SOXLに投資するメリット

SOXLに投資するメリット
  • 短期間で大きなリターンを得ることができる
  • SOXSを利用すれば、下げ相場でも利益を上げることができる

SOXL(レバレッジ型)の最大のメリットは、短期間で大きなリターンを狙えるところです。上で紹介した株価チャートを見てもわかる通り、基準インデックスに大きな動きがなくても急激に上昇します。

SOXS(インバース型)を利用すれば、上げ相場、下げ相場に関係なく利益を上げることができるのもメリットです。(CFDを利用すれば、SOXLを売却から入る運用方法も可能です。ただし上級者向け)

SOXLに投資するデメリット

SOXLに投資するデメリット
  • 長期投資に適していない
  • 現在は株価が下落する可能性が高い
  • 短期間でも損失が大きくなる
  • 経費率が比較的高い

SOXLに投資するデメリットは、とにかく投資が難しいというところです。長期投資に適していないうえに短期間で損失が大きく膨らむ可能性もあります。2023年は米国株式市場全体も下落リスクが高い点を考えれば、(特に投資初心者は)投資するデメリットは大きいです。

まとめ:SOXLの買い方の基本は少額・短期間。ただし、今はやめたほうがいい

レバレッジ型やインバース型はよいタイミングで投資できれば、少ない資金で大きなリターンを得ることが可能です。
ただし、上げ下げする相場には弱い商品です。

長期の投資には適しておらず、損失が吹くらい見やすい投資商品ですので、特性を十分に理解するようにしましょう。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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