アルプスアルパインはやばいのか?株価下落の理由と将来性を解説

この記事は24.3期通期決算短信までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

一般的にはなじみがあまりないかもしれませんが、アルプスアルパインは売上1兆円に迫ろうかという大企業です。24.3期は300億円の最終赤字となりました。悪い会社ではないと思いますが、業績や株価が回復するのはもう少し先になりそうな気がします。現時点ではちょっと手を出しにくい面はありますが、配当狙いなど、明確な目的があれば面白い銘柄だと思います。

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目次

アルプスアルパイン(6770)の株価予想

アルプスアルパインの目標株価

松井証券が提供しているマーケットラボでは、アルプスアルパインの目標株価(2024/5/12時点)は以下のようになっています。

24/5/12時点の株価およそ1500円に対して、アナリストはかなり1200円程度と若干弱気ですが、個人投資家は2400円を超えており、かなり強気な態度となっています。

実際には24.3期は最終赤字となっており、営業利益も近年はブレが大きく全体的には減少傾向にあります。

上のチャートはアルプスアルパインが属している電気機器企業の平均とアルプスアルパインを比較したチャートです。企業規模以外の項目が平均よりも小さくなっており、マーケットラボの分析数字はよくありません。

この記事では松井証券のマーケットラボというツールを利用していますが、初心者の方でも財務分析結果を見やすく表示してくれます。証券口座を保有しているだけでも利用できるので、松井証券口座を作っておくのもおすすめします。

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アルプスアルパインの株価チャート

直近20年間の株価チャートです。2015年から2016年をピークにして上げ下げを繰り返してますが、全体としては大きく下落しました。この期間は売上はほぼ横ばいですが、利益率などは減少しており、株価にも影響していそうな結果となっています。

アルプスアルパインの株価チャートから今後の株価がどうなるかを予想

直近1年間の株価チャートと一目均衡表、下にMACDを表示しています。2024年から大きく株価が上昇しており、いったん調整が入りそうです。ただし、上の長期間の株価を見るとわかりますが、この上昇は全体としてみればそれほど大きな変化ではありません。

ファンダメンタルズが回復しないと大きな上昇トレンドになるのは難しいかな、、、というのが個人的な感想です。

5/9の決算発表と1月末の第3四半期決算発表は業績がよくなかったので、発表直後は下落しています。2024年それ以降大きく伸びているのが疑問ですが、今回の24.3期通期決算発表も業績がよくなかったので、ある程度下落してもおかしくないと思います。

以下のチャートは過去20年の範囲でのテクニカル指標です。2024年の上昇がそんなに大きくないことがわかります。このスパンでみると、テクニカル的には底を打ったようにも見えます。

アルプスアルパインの会社概要

名称6770 アルプスアルパイン あるぷすあるぱいん [電気機器]
企業URLhttps://www.alpsalpine.com/j/
決算時期3月
上場時期1961.10
特色電子部品のアルプス電気と車載情報機器のアルパインが19年再統合。
スマホカメラ部品で稼ぐ
連結事業コンポーネント35(12)、センサ・コミュニケーション9(-2)、モジュール・システム52(-1)、他4(6)【海外】88 <23・3>
株主優待株主優待はありません
アルプスアルパインの会社概要

アルプスアルパインはどんな会社か?

アルプスアルパインの事業は、コンポーネント事業、センサー・コミュニケーション事業、モジュール・システム事業の3本柱で成り立っています。

統合報告書より抜粋

2024年時点では、モジュール・システム事業の売上が50%以上を占めていますが、今後は、センサー・コミュニケーション事業を成長ドライバーと位置付けているそうです。とはいえ、売上が逆転するほどということではありません。

アルプスアルパインの配当は?

24.3期の配当は通期30円でした。おそらく今後も第2四半期に中間配当があります。3月決算の企業ですので、9月末と3月末の権利付き最終日に保有しておきましょう。

2025年3月期日程配当金(予)権利付き最終日権利落ち日権利確定日
中間配当30円2024/9/26(木)2024/9/27(金)2024/9/30(月)
期末配当30円2025/3/27(木)2025/3/28(金)2025/3/31(月)
25.3期配当情報

アルプスアルパインの株主還元方針は、「安定配当+業績連動」となっていましたが、25.3期からはDOE(自己資本配当率)3%を目安とする配当方針に切り替わります。

これをベースに考えると、、、24.3期の貸借対照表では純資産合計がおよそ3920憶円ですので、3%の117億円が配当になり、期中の発行済み株式平均数がおよそ2億株なので、117億÷2億≒58.5円/1株です。

来期配当予想が60円/1株となっているので、想定通りといったところでしょうか。

自己資本に大きな動きがない限りは、安定した配当が見込めます。基本的に大きく自己資本を減らすことはないと思います。仮に1株当たりの配当が60円で株価が1500円なら配当利回りは約4%となるので高配当株といってよいでしょう。

アルプスアルパインは潰れるって本当?

直近数期は利益関連(収益性)の数値が良くありません。さらに、5/9発表の24.3期通期決算では300億円の最終赤字をだしています。直近でいえば、20.3期、21.3期と24.3期が最終赤字となっているので、アルプスアルパインがやばいと言われる理由はこの辺りが原因だと思います。

24.3期は最終赤字300億円 392億円の減損損失を計上

車載向け製品に関わる事業用固定資産353億円の減損損失を含め、約400億円近い特別損失を計上しているので、最終利益が大きく落ち込み300億円の赤字に転落しました。この減損損失は1月末に発表されており、マイナスサプライズで大幅に株価が減少しました。(上の株価チャート参照)

第2次中期経営計画は中止 収益性改善が必須

売上や利益の推移は次に紹介しますが、この数年で利益率が悪化しています。24.3期通期決算説明資料によれば、高コスト体質は現状の構造的課題と認識しているとの記載があります。歩留まり率(簡単に言えば投入した原材料に対する完成品の比率)が悪いことや固定費の増加などがあげられていました。

この規模とタイプの企業だと、利益率が高いケースが多いイメージですが、現実的には新規事業の見通しの甘さや、売上拡大優先によって低収益の事業モデルになってしまっているようなので、第2次中期経営計画は中止して改革期間とするそうです。

アルプスアルパインのIR情報と決算数値分析

以下の決算数値は、バフェットコードの画像を中心に利用しています。

https://www.buffett-code.com/company/6770/financial

売上の推移

売上は横ばいですが、上でも説明した通り、利益率(各種折れ線グラフ)が減少傾向になっていることがわかると思います。この改善が必要ですが、なかなか改善しないということは、、、難しそうですね。

利益の推移

利益が上がらないのが大きな課題となっています。利益率は減少中です。27.3期までにROE10%としており、中期経営計画を中止してまで改善させるようなので、少なくとも数字上では一定の成果はでてくるものと予想されます。

キャッシュフローの推移

24.3期の営業CFが上昇しているのは、割り引いて考えたほうがよさそうです。

ROE分解式

ROEは大きく落ち込んでいます。27.3期までに10%に上昇させる計画のようです。

ROEを分解すると、売上高利益率(純利益/売上高)×総資産回転率(売上高/総資産)×財務レバレッジ(総資産/自己資本)となりますが、財務レバレッジと総資産回転率がまぁ横ばいにも関わらずROEが下落するのは、売上高利益率が悪いからとなります。

利益率が悪いのは、24.3期については特別損失などの影響もありますが、再建までの道のりは結構険しそうな気がしています。

その他分析①(ROIC、WACC、EVA)

24.3期の最終利益が赤字なので割愛します。

その他分析②(EPS成長率や類似企業の比較分析)

最終赤字となっている期が多いため、EPS成長率などもあまり意味がなさそうです。来期ベースの純利益から株価を考えてみます。結論からいうと、判断が難しいと思いました。

25.3期の通期業績予想は、(達成できるかは別にして)当期純利益300億円です。

株価 = PER / 株式数 × 当期純利益
1459 ≒ 10 / 205,582,943 / 30,000,000,000 【25.3期予想純利益】
2189 ≒ 15 / 205,582,943 / 30,000,000,000 
2919 ≒ 20 / 205,582,943 / 30,000,000,000 

来期利益予想からすれば、現在の1500円という株価はおおよそPER10倍です。類似企業のPERを見ると5倍~25倍くらいにまとまっています。そうなるとPER10倍という数字が極端に低いというわけではなさそうです。

利益が赤字になるケースが多いので、PSR(株価売上高倍率)を考えてみましょう。PSRは時価総額を売上高で割った数字です。収益性は別にすると、基本的に赤字であっても売上は上がるので不況時でも利用できます。

アルプスアルパインのPSRはおよそ0.3倍(時価総額3000億円、売上9500億円)です。ここ数年大きなブレはなかったため、売上に応じて株価が連動しやすいと考えることもできます。そして、25.3期の売上予想は9130億円なので24.3期よりも小さくなっています。したがって、PSR基準で考えると株価は上昇しにくそうだといえます。

ただし、上述した通り、配当方針が変わり来期の配当は60円(株価1500円で配当利回り4.0%)となっています。このところグロース株よりもバリュー株や高配当株などが好まれる傾向にある気がします。株価がさがれば配当利回りが上がりますので、株価の下支えはありそうです。よって、株価の上昇は大きく期待できないかもしれませんが、大きな下落もしないのではないかと予想しています。

まとめ:上昇トレンドに変化するのは利益率が改善してからになりそう

ファンダメンタルズ的には、すぐに大きく株価が上昇するということはなさそうだと思います。ただし、株価がさらに下落すれば配当利回りが上がります。現時点で配当利回り4%の高配当銘柄で、配当が急に減らない株主還元方針(DOE:自己資本配当率)を出している企業なので、構造改革もうまくいって株価が上昇すると予想するのであれば、長期的に保有してもよさそうな銘柄といえそうです。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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