2022年12月20日に日本長期金利の上昇が黙認された形で株価が大幅に下落しました。具体的に言うとYCC(イールドカーブコントロール)の上限が0.25%から0.5%に引き上げられました。
YCC(イールドカーブコントロール)についてはこちらの記事で解説しています。
金利上昇の懸念から20日後場の日経平均株価は大きく下落しました。今後株式市場がどう動くのか、金利上昇時にはどの株に投資すればいいのかを考えてみます。
金利上昇に強いセクターや業種の筆頭は銀行株
日本は近年では金利の上昇というタイミングがなかったので、どのような株価の動きをするか注目していきたいところですが、一般的には銀行株が金利上昇に強いと言われています。
銀行業は株価上昇の期待できる業種筆頭
銀行業はダイレクトに長期金利上昇が収益に影響すると言われています。近年金利が上昇する局面はほぼ考えられなかったという点からしても、特に住宅ローンの金利を変動金利にしている人も多かったのではないでしょうか。変動金利の場合は金利の上昇が利ザヤの拡大に直結します。
実際のところどれだけ収益に影響するかは決算までわかりませんが、このような思惑で投資家から購入されやすくなるのは間違いありません。実際に12月20日、21日と日経平均が全体的に落ち込む中でも銀行株は絶好調でした。

鉄鋼、化学、機械、海運などの景気敏感株
鉄鋼や化学、機械、海運などは景気敏感株です。通常だと金利上昇させるということはインフレが起きているため、景気が上向いていると考えられます。そのため、このような株は過去の経験的に金利上昇で上昇しやすいと言われています。
ただし、今回のタイミングは景気上昇時とは言いにくいので、今後継続して上昇するかは微妙なところがあります。
為替が円高になれば輸入企業に追い風
日本の長期金利が上昇すると日米の金利差が減少します。今は米国の利上げ幅が縮小のタイミングに入ってきていることもあり、今回の金利上昇の動きは為替にも大きく影響しました。12月20日から21日にかけて一時1ドル=137円から130円まで円高に動いています。
下のチャートはドル円の為替レート(上)と、日本国債10年物利回り(下)です。10年物国債のYCC上限変更タイミングで為替も大きく動いていることがわかります。

2022年は円安に大きく動いたので、輸入品の物価上昇や貿易赤字を招きました。これをきっかけにドル円の為替レートが円高になれば輸入企業には追い風になります。
金利上昇時にグロース株が下落するのはなぜか
金利上昇時はグロース株よりもバリュー株に人気が集まります。グロース株はこれからの成長のために設備投資にお金をかけますが、長期金利が上昇すると調達コストが余計にかかります。そのため、金利上昇局面では投資家のグロース株への投資は警戒心が高くなります。一方で、バリュー株は成熟した大企業が多く、グロース株に比べると金利上昇の影響が少ないとされています。
実際にグロース株が多い米国の情報技術セクターなども金利上昇に最も反応しやすいセクターだと言われています。

金利上昇に強い資産はなにか?
株式以外の資産は金利の上昇にどのような影響があるでしょうか。
金はインフレに強い資産だが為替にも注意
金(GOLD)は、現物資産であり金利上昇というよりもインフレに強い資産です。インフレに強い資産だと投資家が認識しているので、インフレ時には物価上昇よりも高い上昇率で価格が上がることがあります。
ただし、近年はそこまで単純な値動きをしていないのは認識しておきましょう。また、ドルベースで取引される為、為替の影響を受ける点には注意が必要です(円高局面では相対的に資産が減る)。
直近の米経済の各種指標からは、米国のインフレが想定よりも急激に収まってきていることが鮮明であり、金価格の上昇にも歯止めがかかっています。

債券価格は下落するが利回りは上昇する
金利上昇時には債券価格は下落しますが、利回りは上昇します。
金利と債券価格の関係はこちらの記事で解説しています。

運用利回りが上昇するということは、投資家にとっては魅力的な商品が多くなるということです。注意が必要なのは、これは償還まで保有していればという点です。債券価格は下落することが多いので、途中で売却する場合には債券といえど損失が出ることもあります。
不動産は厳しい状況になりそう
不動産業は長期金利がマイナスに働く業種の筆頭といえます。銀行とは逆で、金利が上がったら高い金利でお金を借りて家を買おうと考える人が少なります。
株価も12月20日から不動産業は下落が続いています。
銀行業など一部業種を除けば苦しい展開に
ここまで読んでいただきありがとうございました。
まさかこのタイミングで日本のYCC上限を変えてくるとは思いませんでした。米国市場は来年リセッション(景気後退)かもしれないと言われている中で、日本もかなり厳しい状況になるかもしれません。
株式はバリュー株や配当狙いの戦略がメインになってくるかもしれません。株式以外の資産への投資も検討したほうが良さそうですね。
ありがとうございました。
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