こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
2022年の米国はインフレを抑制するために金利を上昇させました。インフレ率のピークアウトは鮮明ですが、リセッション(景気後退)がいつ起こるのか見通せない状態です。
今後の株価の見通しが異なる中でも、主要な金融機関で意見が一致しているのは「ヘルスケアセクター」の投資です。ヘルスケアセクターはディフェンシブ銘柄でもあり、成長産業でもあるという面白い立場にあります。米国が得意なハイテク産業は比較的割高な銘柄なので、その面でもヘルスケアセクターが推奨されています。

そのほかのセクターに関してはこちらの記事で紹介しています。

ヘルスケアセクターの概要と特徴


ヘルスケアセクターは不況や不景気に左右されにくく、常に一定の需要が見込めます。なぜなら、不況になっても風邪を引けば薬が必要ですし、病院もなくてはなりません。また、長寿命化や高齢化は今後避けて通れない課題です。予防、治療、介護など様々なケースにおいて、ヘルスケアは重要な役割を占めます。
一方で、バイオ医薬品やITを伴う医療など最先端の技術も投入されており、ディフェンシブなだけでなく成長産業としても期待できるセクターです。
ヘルスケアセクターのインダストリーは以下の通りです。インダストリーというのはセクターの下にあるサブカテゴリーのようなものです。
インダストリー(英語) | インダストリー(日本語) | 割合(%) |
---|---|---|
Pharmaceuticals | 医薬品 | 26.0 |
Health Care Equipment | ヘルスケア機器 | 19.4 |
Biotechnology | バイオテクノロジー | 17.3 |
Life Sciences Tools & Services | ライフサイエンス ツール・サービス | 12.8 |
Managed Health Care | マネージドヘルスケア | 12.2 |
Health Care Services | ヘルスケアサービス | 5.4 |
Health Care Distributors | ヘルスケアディストリビュータ | 1.8 |
Health Care Facilities | ヘルスケア施設 | 1.8 |
Health Care Supplies | ヘルスケア用品 | 1.7 |
Health Care Technology | ヘルスケアテクノロジー | 1.7 |
※割合はMSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア・インデックスの割合です
ヘルスケアセクターETF(VHT、XLV、IXJ)の比較


ここではヘルスケアセクターの主なETFを3種類解説します。
- VHT(バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF)
- XLV(ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド)
- IXJ(iシェアーズ グローバル ヘルスケア ETF)
3つのETFを比較すると以下のようなイメージです。個人的にはVHTかXLVのどちらかが良いと思います。
※ETFや投資信託は経費率を下げるのが重要なため
VHT | XLV | IXJ | |
---|---|---|---|
純資産総額(百万ドル) | 16,387.49 | 39,322.19 | 3,954.35 |
分配利回り | 1.05% | 1.59% | 1.28% |
経費率 | 0.10% | 0.10% | 0.40% |
過去パフォーマンス | |||
リスク分散 | 銘柄多 | 米国内米国内 銘柄少 | 銘柄中 | グローバル
VHT(バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF)
VHTはバンガード社が提供するETFです。
バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF(VANGUARD HEALTH CARE ETF)は、MSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア25/50インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。米国のヘルスケア・セクターの大型株、中型株、小型株に投資する。当インデックスは、米国のヘルスケア・セクター株式銘柄で構成されている。このセクターは、ヘルスケア機器およびヘルスケア用品を製造する企業またはヘルスケア関連サービスを提供する企業、医薬品およびバイオテクノロジー製品の研究・開発・製造・マーケティングを主たる業務とする企業で構成されている。
SBI証券 VHTのETF情報より
基準価額(米ドル) | 244.35 (2023/06/21) |
純資産総額(百万米ドル) | 16,387.49 (2023/05/31) |
分配利回り | 1.05% |
経費率 | 0.10 % |
設定日 | 2004/01/26 |
運用会社 | バンガード |
VHTの構成銘柄
上位10銘柄の構成は以下の通りです。
VHTは2022年4月20日現在で439銘柄で構成されています。
名称 | 割合 |
---|---|
UNH:ユナイテッドヘルス・グループ | 7.76 |
JNJ:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 7.5 |
PFE:ファイザー | 4.56 |
ABBV:アッヴィ | 4.52 |
TMO:サーモフィッシャーサイエンティフィック | 3.71 |
ABT:アボットラボラトリーズ | 3.69 |
LLY:イーライリリー | 3.52 |
MRK:メルク | 3.35 |
DHR:ダナハー | 3.06 |
BMY:ブリストル マイヤーズ スクイブ | 2.64 |
VHTのリアルタイムチャート
2020年頃のコロナウイルスの下落も、早い段階で回復していることがわかります。ヘルスケアセクターはワクチンなどの関連要因もあり、回復が早い傾向にありました。しかし、2022年には米国市場が急激に落ち込みましたが、ヘルスケアセクターは何とか踏みとどまったと言えます。
VHTとS&P500の比較
次にS&P500を比較してみます。青いラインがVHTのチャートです。
過去20年間の期間で見るとVHTに投資したほうがリターンが大きい結果となりました。また、2007~2009年頃の下落(これはサブプライム問題とリーマンショックによるもの)や2022年の下落では、S&P500よりもVHTのほうが相対的に小さいことがわかります。ディフェンシブでありながら成長性もあるヘルスケアセクターの特徴がよくでています。


VHTの分配金と分配利回り
VHTの分配利回りは約1%であり、それほど高くはありません。2020年のコロナショックにより、一次分配金が減少しましたが、現在は分配金額が徐々に回復しています。2023年においては、3月と6月の2回の分配実績が2022年を上回っています。
以下は分配金実績と増配率です。比較的安定した分配金の額になっていますが、基本的には分配金を目的とするよりもキャピタルゲイン(株価の上昇)を目的とするETFです。
年 | 分配金 | 増配率(前年比) |
---|---|---|
2022年 | 1.992538 | 6.4% |
2021年 | 1.872361 | 10.8% |
2020年 | 1.689493 | ▲23.4% |
2019年 | 2.206188 | ー |
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COZUCHIは平均利回りが実績で23.1%となっています。しかも過去に元本毀損はありません。
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XLV(ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド)
XLVの概要は以下の通りです。運用会社のステートストリートはSPDR(スパイダー)シリーズのETFを提供しています。SPDRはSPYやSPYDなどが有名です。
ヘルスケア・セレクト・セクター SPDR ファンド(HEALTH CARE SELECT SECTOR SPDR FUND)は、S&Pヘルスケア・セレクト・セクター・インデックスのパフォーマンス(手数料および経費控除前)に連動する投資成果を目指している。
SBI証券 XLVのETF情報より
基準価額(米ドル) | 131.55 (2023/06/21) |
純資産総額(百万米ドル) | 39,322.19 (2023/05/31) |
分配利回り | 1.59% |
経費率 | 0.10% |
設定日 | 1998/12/16 |
運用会社 | ステートストリート |
XLVの構成銘柄
上位10銘柄の構成は以下の通りです。割合は異なりますが、上位構成銘柄自体はVHTとほぼ同様です。
名称 | 割合 |
---|---|
UNH:ユナイテッドヘルス・グループ | 9.6 |
JNJ:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 9.13 |
PFE:ファイザー | 5.34 |
ABBV:アッヴィ | 5.24 |
TMO:サーモフィッシャーサイエンティフィック | 4.29 |
ABT:アボットラボラトリーズ | 4.02 |
LLY:イーライリリー | 4.47 |
MRK:メルク | 4.11 |
DHR:ダナハー | 3.29 |
BMY:ブリストル マイヤーズ スクイブ | 3.16 |
VHTとの違いは構成銘柄の数です。2022年4月20日現在、XLVは67銘柄で構成されています。上位10銘柄で約53%、20銘柄まで広げると約73%の割合となります。
対してVHTは2022年4月20日現在で439銘柄で構成されています。VHTが大型から小型株まで幅広く網羅していますが、XLVは大型株に特化しています。
XLVのリアルタイムチャート
XLVの過去推移チャートはこのような感じです。VHTと大きな違いはありません。
VHTとXLVを比較してみます。下のチャートではわずかにVHT(オレンジライン)が上回っている期間もありますが、大きな違いは見られません。経費率や分配利回りもそれほど変わらないため、好みで投資先を決めるのでも問題ないと思います。


XLVの分配金実績と分配利回り
XLVはVHTと比較すると少し分配利回りが高くなっています。ただし、高配当ETFというわけではないので、基本的な投資方針はVHTと同様にキャピタルゲインを目的にすることになります。
年 | 分配金 | 増配率(前年比) |
---|---|---|
2022年 | 1.992538 | 6.4% |
2021年 | 1.872361 | 10.8% |
2020年 | 1.689493 | ▲23.4% |
2019年 | 2.206188 | ー |
IXJ(iシェアーズ グローバル ヘルスケア ETF)
IXJは米国だけでなくグローバルに銘柄を組み込んでいるところが上の2つのETFと異なります。
iシェアーズ グローバル・ヘルスケア ETF(iShares Global Healthcare ETF)はS&Pグローバル・ヘルスケア・セクター指数(S&P Global Healthcare Sector Index)の株価と実績に連動する投資成果を求める。同指数はS&Pにより選定されたヘルスケア業界の企業のパフォーマンスを反映する。同指数はS&Pグローバル1200指数(S&P Global 1200 Index)のサブ指数で、医療機関、バイオ医薬品会社及び医療用品、先端医療機器、医薬品生産会社により構成される。同指数はオーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、オランダ、スイス、英国および米国にある会社の株式により構成される。同ファンドの投資アドバイザーはBlackRock Fund Advisors (BFA)である。
SBI証券 IXJのETF情報より
基準価額(米ドル) | 82.07 (2023/03/29) |
純資産総額(百万米ドル) | 3,871.66 (2023/02/28) |
分配利回り | 1.21% |
経費率 | 0.40 % |
設定日 | 2001/11/13 |
経費率は他の2つの銘柄よりも高いので注意してください
IXJの構成銘柄
IXJは2022年4月20日現在ですと、133の銘柄から構成されています。上位10銘柄の構成は以下の通りです。
ロシュやノバルティスといった日本でもなじみの銘柄が組み込まれています。
名称 | 割合 |
---|---|
UNH:ユナイテッドヘルス・グループ | 6.83 |
JNJ:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 6.35 |
ROG:ロシュ・ホールディングス | 3.95 |
PFE:ファイザー | 3.95 |
ABBV:アッヴィ | 3.83 |
LLY:イーライリリー | 3.22 |
NOVN:ノバルティス | 3.06 |
TMO:サーモフィッシャーサイエンティフィック | 3.06 |
MRK:メルク | 2.95 |
AZN:アストラゼネカ | 2.89 |
IXJのチャート推移
過去の推移チャートです。全体的には右肩上がりですが、2022年以降は横ばいとなっています。
ただし、VHTと比較してみると、無視できない差が出ています。
この結果からVHTのほうが優れていると結論付けることはできませんが、過去の結果としては認識しておきましょう。


ヘルスケアセクターETFの構成上位企業を紹介
ヘルスケアセクターETFの構成上位になっている企業を簡単に紹介します。ジョンソンエンドジョンソンやファイザーは聞いたことがあると思います。
ユナイテッドヘルスグループ(UNH)


ユナイテッドヘルス・グループは米国最大級の民間医療保険会社で、2021年末現在で米国外の500万人を含む5,000万人の会員に医療給付サービスを提供しています。
主に、医療保険事業(UnitedHealthcare)とオプタム事業(Optum)を手掛けています。売上構成としては医療保険事業が約75%を占めていますが、オプタム事業のほうが利益率が高く利益の半分はオプタム事業となっています。
売上、利益ともに右肩上がりでいわゆる優良企業です。




ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)


ジョンソン・エンド・ジョンソンは、世界最大規模で最も多角的なヘルスケア企業です。医薬品(Pharmaceutical)、医療機器・診断(MedTech)、消費者(Consumer Health)の3部門で構成されています。医薬品と医療機器の2部門で80%を超える売上となっています。
売上は全体的に上昇していますが、利益は上がったり下がったりしながら時々大きく上がるということを繰り返しています。




ファイザー(PFE)


ファイザーは、世界最大手の製薬会社のひとつです。以前は多くの種類のヘルスケア製品および化学医薬品を販売していましたが、現在は処方箋薬とワクチンが売上高の大半を占めてます。コロナのワクチンでも有名です。
2020年以降に業績が急上昇していますが、今後継続するのか注目しておく必要があります。2022年初めの株価は約60ドルでしたが、現在は約40ドルまで下落しており、PERも約7.5倍まで下がっています。


ヘルスケアセクターETFはいつでも積極的に利用できるETF
ヘルスケアセクターへの投資は、どのような状況でも効果的で投資しやすいETFです。さらに、より効率的に投資するためにはCFD取引を利用する方法もあります。IG証券のCFD取引では、米国ETFを最大5倍のレバレッジで取引することができます。
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CFDがどんな取引なのかはこちらで紹介していますので興味があれば参考にしてください。

