こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
昨今、米国株式は投資家に非常に人気があります。
米国市場では「セクター」という考え方で銘柄が分類されています。
セクターは日本でいうところの「業種」に近い考え方です。ただ、米国でのセクターはそれごとに対応するインデックスやETFが存在しており、日本株よりも重要視されているように感じます。

情報技術セクターは米国が得意とする分野で有名です。セクターローテーションという景気局面に応じた投資先を選ぶ手法もあります。
米国のセクターは11種類に分類され、各々に特徴があります。
この記事ではセクターごとの特徴や対応する銘柄などを解説します。
- 米国株のセクターの種類と2022年のパフォーマンスがわかる
- セクターごとの特徴がわかる
- セクターごとに対応するETFや個別銘柄がわかる


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米国のセクターとはなにかを解説
セクターは企業を分析するために業種などによって便宜上区分したグループで、日本でいえば業種のようなものです。セクターにはそれぞれ特徴がありますので、複数のセクターに投資するとリスク分散の効果があります。
米国市場のセクター一覧とS&P500に占める割合
米国のセクターは11個に分類されています。以下の表では、S&P500の組入れ比率と2022年のセクター別ETF騰落率を入れました。セクター別ETFとして採用したETFはカッコ内に記載しています。
騰落率をみると一目瞭然ですが、2022年はエネルギーだけ異常な動きとなりました。また、いわゆるディフェンシブなセクターは下落率が小さく、ハイテク株などのグロース株を中心としたセクターは下落率が大きくなっています。ちなみにS&P500(VOO)の年初来の騰落率は▲18.06%です。
セクター名称 | 英語版 | S&P500の組入比率 | 2022年騰落率 |
---|---|---|---|
生活必需品 | Consumer Staples | 6.70% | ▲0.87%(VDC) |
ヘルスケア | Health Care | 14.30% | ▲5.47%(VHT) |
公益事業 | Utilities | 2.80% | +1.73%(VPU) |
情報技術 | Information Technology | 27.30% | ▲29.7%(VGT) |
資本財 | Industrials | 8.50% | ▲8.41%(VIS) |
エネルギー | Energy | 4.80% | +62.55%(VDE) |
通信サービス | Communication Services | 7.70% | ▲38.97%(VOX) |
一般消費財 | Consumer Discretionary | 10.70% | ▲35.00%(VCR) |
金融 | Financials | 11.70% | ▲12.73%(VFH) |
素材 | Materials | 2.80% | ▲10.80%(VAW) |
不動産 | Real Estate | 2.70% | ▲14.70%(VNQ) |
セクターローテーションの考え方
セクターローテーションというのは、簡単に言うと景気や経済の局面において投資するセクター(業種)を切り替えていく戦略のことです。
基本的な考え方として、金利と景気は循環していきます。好景気になってインフレが進めば、金利を上げて引き締めに入ります。まさに2023年の米国がその状態です。若干景気の循環と別の要因もありますが、2022年はエネルギーが順調でした。これから金利が縮小していく段階ですので、2023年は後退期から不景気のあたりにいそうなイメージです。
下の図は米国のセクターローテーションを表した図です。各セクターとそのセクターETF(バンガード社のETF)を記載しています。


米国セクターETFの一覧
下の表がセクターETFの一覧で、1行目にバンガード社のETF、2行目にブラックロック社のETFをまとめています。分配利回りと経費率がどれだけ違うかを確認してみて下さい。
セクター名称 | ETF | 分配利回り | 経費率 |
---|---|---|---|
生活必需品 | VDC KXI | 2.46% 2.02% | 0.10% 0.40% |
ヘルスケア | VHT IXJ | 1.43% 1.24% | 0.10% 0.40% |
公益事業 | VPU JXI | 3.21% 3.27 | 0.10% 0.42% |
情報技術 | VGT IXN | 0.83% 0.74% | 0.10% 0.40% |
資本財 | VIS EXI | 1.50% 1.58% | 0.10% 0.41% |
エネルギー | VDE IXC | 3.95% 5.01% | 0.10% 0.40% |
通信サービス | VOX IXP | 0.83% 1.33% | 0.10% 0.43% |
一般消費財 | VCR RXI | 0.91% 0.94% | 0.10% 0.40% |
金融 | VFH IXG | 2.50% 3.83% | 0.10% 0.40% |
素材 | VAW MXI | 1.97% 4.77% | 0.10% 0.40% |
不動産 | VNQ IYR | ー% 2.92% | ー% 0.39% |
セクターETFの運用会社 バンガード社とブラックロック社
この記事では、バンガード社 とブラックロック社 のセクターETFを紹介しています。
バンガード社はVxxのティッカーのETFです。上のETFのほかにS&P500に連動するVOOなどが特に人気です。ブラックロック社はIXxやxXIのようなティッカーのETFです。
この2社のどちらのETFのほうが優れているということは特にありませんが、感覚としてはバンガード社のETFのほうが人気があり、一般的な認知度が高いように感じます。VOOとかVGTとかは特に人気があります。経費率が安いところもバンガードのほうが人気がる要因かもしれません。
各セクターの概要やETF銘柄を解説
ここからはセクター別の特徴と対象のETFなどを紹介します。
生活必需品
生活必需品セクターはその名の通り、生活に必要なものを扱っている企業が対象となります。
その為、景気の良し悪しに左右されにくい、いわゆるディフェンシブセクターです。
つまり、不況に強いセクターですが、景気が良くなっても他のセクターと比べると上昇は小さくなります。
VDCの分配利回りは1.98%と比較的高めです。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
PG:プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) KO:コカ・コーラ KOST:コストコホールセール PEP:ペプシコーラ | VDC:バンガード 米国生活必需品セクター ETF KXI:iシェアーズ グローバル生活必需品 ETF |
日本に住んでても馴染みのある銘柄もたくさんあります。
下のチャートはVDCとVOOの5年間の比較です。青線がVDC、オレンジがVOOです。上昇幅は大きくないですが、2020年に急激に落ち込んでいる部分の下げ幅が小さいことを見てわかる通り、下落に強いセクターです。VOOに比べて値動きが小さくなっています。


ヘルスケア
ヘルスケアセクターも不況に強いセクターです。医療や介護などは、景気に左右されることなく常に必要とされるからです。
ディフェンシブでありながら、バイオ産業やITを伴う医療など最先端の技術も投入される成長産業でもあります。
VHTの分配利回りは1.28%と高くはありません。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
UHN:ユナイテッド・ヘルス・グループ JNJ:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) PFE:ファイザー ABBV:アッヴィ | VHT:バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF XLV:ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド IXJ:iシェアーズ グローバル ヘルスケア ETF |
VHTとVOOの比較チャートです。青がVHT、オレンジがVOOです。
上昇はVOOに見劣りしていません。下落幅もVOOより若干小さく、バランスが良いセクターです。VHTは株価が約230USD(2023/3/24時点)となっているので、VOOの約360USDよりも買いやすい価格なのもメリットと言えるかもしれません。


公益事業
公共事業セクターは電気、ガス、水道などの生活インフラを支える事業ですので、こちらも不況に強いセクターです。
景気に左右されにくく、VPUの分配利回りは2.68と比較的高いのも特徴です。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
NEE:ネクステラ・エナジー DUK:デューク・エナジー SO:サザン D:ドミニオン・エナジー | VPU:バンガード 米国公益事業セクター ETF JXI:iシェアーズ グローバル公益事業 ETF |
VPUとVOOの比較チャートです。
上昇率はVOOに劣りますが、分配金なども考慮するとチャートほどリターンの違いは出ません。
リスク分散でサテライト投資するという戦略も使えるセクターです。


情報技術
情報技術セクターは米国が最も得意とするセクターであり、高成長が見込める分野です。
S&P500の組入比率でも約25%という大きな割合を占めています。
VGTの分配利回りは0.78%と低く、その分値上がりを重視することになります。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
AAPL:アップル MSFT:マイクロソフト NVDA:エヌビディア V:ビザ | VGT:バンガード 米国情報技術セクター ETF IXN:iシェアーズ グローバル テック ETF |
VGTとVOOの比較です。青がVGTでオレンジがVOOです。
VGTはVOOよりも高い上昇をしていることがわかります。ここ数年、情報技術セクターは非常に高い上昇を示しました。
ただし、米国の長期金利が上昇していることは見過ごせない点です。情報技術セクターは長期金利の影響を受けやすいため、下落の危険もあります。2022年は下落率が大きいセクターの1つとなっています。


資本財
資本財セクターは産業機械や、建設・土木、建設関連製品、航空、鉄道、航空宇宙などなど、様々な産業がまとまっています。
どちらかというとBtoBビジネスが多く、銘柄はあまりなじみがないものが多いです。
VISの分配利回りは1.28%と高いわけではありませんので、初心者としては手が出しにくいセクターだと思います。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
UNP:ユニオン・パシフィック UPS:ユナイテッド・パーセル・サービス RTX:レイセオン・テクノロジーズ HON:ハネウェルインターナショナル | VIS:バンガード 米国資本財サービスセクターETF EXI:iシェアーズ グローバル資本財 ETF |
VOOとの比較チャートです。青がVIS、オレンジがVOOです。
上昇率はVOOが勝っています。


エネルギー
エネルギーセクターは石油関連ビジネスの企業で構成されています。VDEの分配利回りは3.09%と非常に高いです。
エネルギーは2022年はほぼ1人勝ち状態になっていましたが、石油関連は地政学的な影響もあるので、個別に手を出すのは難しいセクターだと思います。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
XOM:エクソンモービル CVX:シェブロン COP:コノコフィリップス EOG:EOGリソーシズ | VDE:バンガード 米国エネルギーセクター ETF IXC:iシェアーズ グローバル エネルギー ETF |
VOOとの比較チャートです。青がVDE、オレンジがVOOです。
下記のチャートを見てわかる通り、なかなか難しい動きをしています。


通信サービス
通信サービスセクターはその名の通り、通信サービス系なのですが、時代とともに主な銘柄が変わってきています。
下にも記載した通り、メタ(旧Facebook)やGoogleなどが現在のメインですが、AT&Tのような成熟している企業も存在します。また、ディズニーなどもこのセクターに入っています。
上記の通り、企業の特性がかなり異なりますので個別企業に投資する場合は十分調査してください。VOXの分配利回りは1.15%です。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
FB:メタ・プラットフォームズ GOOGL:アルファベット GOOG:アルファベット DIS:ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー | VOX:VG 米国通信サービスセクター ETF IXP:iシェアーズ グローバル通信サービス ETF |
VOXの過去チャートです。青色がVOX、オレンジがVOOです。
全体としてはVOOに似ている動きですが、直近の下落幅も大きく、セクター単独だと判断が難しい動きです。


一般消費財
一般消費財はアパレル、レジャー、自動車、レストランなど、必須ではないけど消費者が使うものを扱うセクターです。
必需品というわけではないため、景気に左右されやすいセクターです。
amazon、テスラ、マクドナルドなど、業種は違えど日本でもお馴染みの企業が並びます。
VCRの分配利回りは1.07%と比較的低めです。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
AMZN:アマゾン・ドット・コム TSLA:テスラ HD:ホーム・デポ MCD:マクドナルド | VCR:VG 米国一般消費財 サービス セクター ETF RXI:iシェアーズ グローバル一般消費財 ETF |
VCRとVOOの比較チャートです。青色がVCR、オレンジがVOOです。
上昇下落ともにVOOよりも動きが大きいため、短期的にインカムゲインを狙いたい場合は良いかもしれません。下落時には注意が必要です。2022年はテスラの株価が約70%下落しており、かなり足を引っ張りました。


金融
金融セクターは銀行、証券会社、資産運用会社などが組み込まれているセクターです。
景気の良し悪しに敏感に反応します。
大企業も多いため、日本でも聞いたことがある名前も並びます。
VFHの分配利回りは2.1%と比較的高い部類です。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
BRK.B:バークシャー・ハサウェイ JPM:JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー BAC:バンク・オブ・アメリカ C:シティグループ WFC:ウェルズ・ファーゴ | VFH:バンガード 米国金融セクター ETF IXG:iシェアーズ グローバル金融 ETF |
VFHとVOOの比較チャートです。青線がVFH、オレンジがVOOです。
下落局面で大きく下げた後に、戻りが若干遅いため、VOOの値上がりにはついていけていません。
金利上昇局面、好景気の局面ではよいセクターといわれていますが、金利上昇は景気後退を招く可能性もあるため、周辺の知識が十分でないと危険かもしれません。
また、23年3月10日に米シリコンバレー銀行(SVB)が破綻しました。それに伴いクレディスイスにも金融不安が広がるという形で、世界的に銀行株が不安定になりました。そのため、23年3月頃はVOOとVFHのパフォーマンスは大きく乖離しています。


素材
素材セクターも景気に敏感に反応する、景気が良いときに強いセクターといわれています。
資本財セクターのように、BtoBの企業が多いため、一般的にはほとんどなじみがない企業がほとんどです。
VAWの分配利回り1.5%程度とそれほど高くありません。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
LIN:Linde PLC FCX:フリーポート・マクモラン NEM:ニューモント SHW:シャーウィン・ウィリアムズ | VAW:バンガード 米国素材セクター ETF MXI:iシェアーズ グローバル素材 ETF |
VAWとVOOの比較チャートです。青線がVAW、オレンジがVOOです。
VOOと似た動きをしており、下落もしますが、戻りも早くバランスがよいセクターです。


不動産
不動産セクターはREIT銘柄で構成されています。一般的にはなじみがありません。
日本で家などを買うことをイメージしてもわかると思いますが、景気や金利に影響されやすいです。
個別銘柄 | セクター | ETF
---|---|
DHI:DRホートン LEN:レナー NVR:NVR | VNQ:バンガード 不動産セクター ETF IYR:iシェアーズ 米国不動産 ETF ITB:iシェアーズ 米国受託建設 ETF ※VNQはSBI証券などでも取り扱いがありません。 サクソバンクのCFDなら売買可能です。 |
サクソバンクについてはこちらで紹介しています。


VNQとVOOの比較チャートです。青がVNQ、オレンジがVOOです。
VOOよりもかなり下回っていることがわかります。
こちらも初心者は個別に手を出さないほうが賢明なセクターだと思います。


おすすめのセクターETFはどれか?
上で解説しているセクターローテーションなどの状況もあるので、いつでもおすすめというものはありません。状況に応じて検討してください。以下の2つはその中でも比較的投資しやすいセクターETFです。
情報技術セクターETF(VGT)
情報技術セクターは成長の期待が大きいセクターです。米国で最も得意な分野と言ってよいでしょう。ただ、2023年の今はまだ早いかもしれません。株価がここから下落した後の景気回復期に期待しています。
ティッカー | 銘柄 | 構成銘柄 | 経費率 | 分配利回り |
---|---|---|---|---|
VGT | バンガード 米国高配当株式ETF | 約330銘柄 | 0.10% | 0.80% |
IXN | iシェアーズ グローバル テック ETF | 約110銘柄 | 0.40% | 0.68% |
情報技術セクターに似ているETFとしてQQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET)があります。QQQはナスダックに上場している銘柄の中で金融機関を除いた時価総額上位100社で構成されています。VGTとQQQのリターンは大きく変わりませんが、経費率はVGTのほうが低くなっています。(QQQは経費率0.2%(2023/4/3時点))


- 成長性が起きい
- GAFAMなどの企業で構成されている
- QQQよりも経費率が低い
ヘルスケアセクターETF(VHT)
ヘルスケアセクターはディフェンシブな面と成長性のどちらも持ち合わせているセクターです。セクターローテーション的には2023年の投資は有効かもしれません。とはいえ、ヘルスケアセクターETFは基本的にいつでもおすすめできます。
ティッカー | 銘柄 | 構成銘柄 | 経費率 | 分配利回り |
---|---|---|---|---|
VHT | バンガード ヘルスケアセクターETF | 約440銘柄 | 0.1% | 1.42% |
IXN | iシェアーズ グローバル テック ETF | 約110銘柄 | 0.40% | 0.68% |
- ディフェンシブでありながら成長性もある
- セクターローテーション的にはこれからおすすめ


まとめ:セクターETFの特徴をつかんで投資をするのが重要
セクターごとに景気に敏感に反応したり、逆に不景気でも下がりにくかったりします。セクターローテーションの考え方を意識して今後の投資セクターを決めましょう。
よくわからなかったら、S&P500(VOOなど)などに投資をしておくのも正解かもしれません。結局全体に分散投資してくれることになります。個人的にはヘルスケアセクターはディフェンシブな面と成長面の両方を兼ね備えているのでおすすめです。
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