投資信託の値段は基準価格ではなく基準価額が正しい。基準価額は高いほうがいいわけではない理由を純資産総額と絡めて解説

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

投資信託の値段について調べてみると「基準価格」と「基準価額」の両方が出てきますが、正しくは「基準価額」です。この記事では投資信託の基準価額と純資産総額の関係について解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 原則として純資産総額は多いほうがいい
  • 基準価格ではなく基準価額
  • 基準価額は純資産総額と総口数で決まる
  • 基準価額は高いほどいいわけではない

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目次

投資信託の基準価額とは

投資信託の基準価額は、投資信託の価格で1万口当たりの購入価格です。「株価」に近いものがありますが、需給の関係で価格が決まるわけではありません。

基準価額を理解するために、まずは投資信託の純資産について説明します。

投資信託の純資産総額とは

純資産総額はその投資信託に集まっている資産の合計です。さらに具体的に言うと、投資家からお金を集めて運用した結果から信託報酬などの運用コストを差し引いた金額です。

運用コストが差し引かれていることがポイントです。つまり、信託報酬が高い投資信託は純資産総額が増加しにくいということになります。

純資産総額は各証券会社の投資信託銘柄から確認することができます。例として、下図はSBI証券の投資信託銘柄画面です。

SBI証券 投資信託画面

純資産総額は以下のような理由から増加傾向にあることや総額が大きいことが望ましいです。

純資産額が大きいほうがいい理由
  • 運用成績が良いため純資産が増加している可能性がある
  • 信託報酬が下がる可能性がある
  • 純資産総額が減少すると償還される可能性がある

必ずそうというわけではありませんが、純資産総額は運用結果を加味していますので純資産総額が増加しているということは、運用成績が良い可能性が高いです。ただし、運用成績に関しては騰落率などを別途確認するようにしましょう。

純資産総額が大きくなると、全体に対しての運用コストの割合が抑えられるため、信託報酬が下がる可能性があります。例えば三菱UFJ国際投信が提供しているeMAXIS Slimシリーズは純資産総額が増える(ファンドが大きくなる)と信託報酬率が下がるので有名です。

逆に純資産が減少すると強制的に償還される可能性があります。投資信託は基本的に長期での運用を前提にされていると思いますので、予定していないタイミングで償還されることは望ましくありません。タイミングによっては、含み損を抱えた状態で強制償還される可能性もあります。

大和iFree日経225インデックスの目論見書

基準価額の決まり方

基準価額の決まり方は純資産総額を総口数で割った1万口分の価格となります。下図のようなイメージです。

投資家Aさん、Bさん、Cさんがそれぞれ下図の口数購入したとします。総口数としては6万口で、運用コストを除いた純資産総額が18万円です。

この場合の1万口の基準価額は3万円となります(18万円÷6万口=3円)

純資産総額と基準価額のイメージ

このように基準価額はあくまでも総口数と純資産総額で決まります。上でも述べた通り、需給の関係で価格が決まるわけではありません。投資信託の基準価額が更新されるのは、1日1回で前営業日の終値ベースで計算されます。

また、株式が基本的に単元(100株)単位でしか買えないのとは異なり、投資信託は1万口単位でなければ買えないわけではありません。

「金額」指定や「口数」指定などがありますが、最低金額100円以上、1円単位で購入が可能です。
詳細は証券会社サイトで確認してください。

SBI証券HPの投資信託説明

参考:SBI証券「投資信託購入の流れ」

基準価額は高ければよいというわけではない

もうひとつ理解しておかなければいけないことは、投資信託は必ず開始した1日目の基準価額は1万円ということです。1万口が1万円なので、1口1円ということですね。

つまりこういうことです。

・同じインデックスに連動していても同じ基準価額になるわけではない
・基準価額の一番高いものが一番運用成績が良いわけではない

以下のグラフは、日経225に連動した3つの投資信託を示しています。

最新日付では青色の投資信託が一番基準価額が高いですが、一番よいかというとそういうわけではありません。(悪いというわけでもありません)

これだけではわからないということです。
連動するインデックスは同じなので、似たような動きをすることは間違いありません。
ただし、信託報酬や純資産総額の変化により今後の動きが変わります。

そのため、基準価額よりも信託報酬の率や純資産額の推により判断したほうが良いということです。

比較をするなら騰落率を確認しましょう。
もう認識していると思いますが、全期間での騰落率では意味がありません。同じ期間での騰落率を比較してください。

ニッセイーニッセイ
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PayPay-PayPay投信

72の法則と126の法則

投資元本が2倍になるまでの期間を計算する方法として、「72の法則」が有名です。72の法則は一括投資した場合、想定利回りだと何年で元本が2倍になるかを計算します。しかし、「72の法則」は積立投資では使えません。投資信託では積立投資をしている人が多いと思いますので、つみたて投資の場合は「126の法則」を利用します。

法則72の法則(一括投資用)126の法則(積立投資用)
概要一括投資した場合で投資元本が2倍になるまでの期間積立投資した場合で投資元本が2倍になるまでの期間
※投資金額は常に一定
計算方法72 ÷ 想定利率 = 元本が2倍になる時間126 ÷ 想定利率 = 元本が2倍になる時間
計算例【運用利率を5%とする】
72 ÷ 5 = 14.4 (つまり約15年かかる)
【運用利率を5%とする】
126 ÷ 5 = 25.2 (約25年かかる)
一括と積立の比較

元本を2倍ではなく1.5倍や1.3倍で確認したいというときには126ではなく別の数字を使います。こちらの記事で126の法則について紹介しているので参考にしてください。

まとめ:投資信託を選ぶときに基準価額は関係ない

ここまで読んでいただきありがとうございました。

どのインデックスに連動するかは重要ですが、基準価額は選択基準にはなりません。信託報酬手数料率の低さや純資産総額の大きさなどのほうが重要です。目論見書をよく確認して、投資信託の商品を選択するようにしましょう。

ありがとうございました。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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