こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
この記事では総還元性向について解説します。総還元性向は会社四季報にも記載されるようになりました。株主還元の指標はかなり注目されているようです。
- 株主還元に積極的かを測る指標
- 配当性向との違いは自社株買いが考慮されているかどうか
- 配当がなくても総還元性向が高い場合もある
総還元性向とは何か?
総還元性向は当期純利益に対して株主還元がどれだけ行われているかを測る指標です。以下のように計算します。
総還元性向 = (配当支払い金額 + 自己株式取得総額) ÷ 当期純利益
総還元性向が高いと何がいいのか?
この還元というのは株主への還元を指します。そのため、株主へのリターンが大きいということです。主なメリットは以下の2点です。
- 配当が多い可能性が高い(配当支払い金額が多いパターン)
- ROEが高まり、株価上昇が期待できる(自己株式取得総額が多いパターン)
配当支払い金額が多いのは直接的に株主への配当が多くなるので、株主にとってはメリットです。
自社株買いはROEが高まると言われています。ROEは以下の式で計算できます。
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本
自社株買いをすると自己資本(分母)が小さくなるため、計算上はROEが高まることになります。ROEが高くなるということは、効率的な経営ができていることにつながり株価上昇も期待できるため、自社株買いが株主還元につながります。
配当性向との違いは?
配当性向は当期純利益に対する配当支払い額だけの割合です。したがって上の式から自己株式の取得額を減らします。
つまり、配当性向が低くても(仮に無配でも)自社株による支出が多ければ、総還元性向は高くなります。
総還元性向の平均は?総還元性向が高いほどいいわけではない
ザイマニによると、2021年の全業種平均は60.6%となっています。中央値は31.0%です。
参考:ザイマニ「総還元性向」
総還元性向をチェックするときにはいくつか注意が必要です。
- 年によりばらつきが大きい
- 業種により差がある
- 高ければいいというものでもない
まずは年によってばらつきが大きいということです。特に自社株買いの有無により大きく数値が上がることがあります。また、業種でもばらつきがある点は認識が必要です。
配当も自社株買いもそうですが、株主に還元している分だけ自社に残るお金(利益剰余金)は減ることになります。総還元性向が高すぎると会社にお金が残りにくくなります。
つまり将来会社が投資するお金をその分株主に還元しているわけです。いわゆる成熟企業で配当が多い(配当性向が高い)パターンです。
総還元性ランキング
2023年1集の会社四季報に、総還元性ランキングが記載されているので、それを一部抜粋して紹介します。(銘柄をクリックすると別タブで企業HPへ移動できます)
配当が多いパターン、自己株式取得が多いパターン、どっちも多いパターンなど様々です。
コード | 銘柄 | 総還元性向 (%) | 直近配当金 (百万円) | 直近自己株式取得 (百万円) |
---|---|---|---|---|
8150 | 三信電気 | 672.5 | 1,231 | 15,743 |
8795 | T&DHLD | 547.2 | 32,114 | 45,482 |
9536 | 西部ガスHLD | 525.1 | 2,597 | 2 |
6236 | NCHLD | 475.6 | 64 | 1,905 |
3593 | ホギメディカル | 473.0 | 1,895 | 18,773 |
総還元性向の調べ方
マネックス証券の銘柄スカウターを利用すると総還元性向を調べることができます。銘柄スカウターはマネックス証券の口座を開設していたら利用できるので便利ですよ。
まとめ:個別株投資をするなら確認しておきましょう
総還元性向は高ければいいというわけではありませんが、株主還元を気にする人は確認してから投資しましょう。配当性向や自社株買いを個別にチェックしてなぜ数値が高いのか確認することをおすすめします。