S&P500は2024年末まで30%下落する。インデックス投資も控えていい

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

先日9月FOMCで0.75%の利上げが発表されました。こちらに関しては事前の予想通りの展開でしたが、その後のパウエル氏の発言は今後の米国経済が厳しい状態になることを否定しないものでした。

この記事では今後米国の株式市場がどうなっていくかということを予想していきたいと思います。

目次

9月FOMCの結果と今後のFFレート見通し

まず9月が0.75%利上げとなったことで、政策金利はトータル3.25%まで上昇したことになります。現在は年末に4.25-4.50%になっているという予想が主流になっています。

FedWatchツール 2022年12月FOMC予想
FedWatchツール 2022年12月FOMC予想

2023年以降をドットプロットでみると、2023年が4.625%2024年3.875%2025年2.875%が中央値となっています。

FedWatchツール ドットプロット
FedWatchツール ドットプロット

これが当たるかどうかは別にして(当然今後の状況で変化します)、現在の予想としてはこれが事実です。

2020年からのインフレ率と政策金利の関係

次に、コロナ以降のインフレ率と現在までの政策金利を見てみます。4本の折れ線グラフはCPIとPCE(判例はグラフを参照)を示してます。棒グラフが政策金利です。これをみるとおおよそ2021年3月~4月ごろからインフレ率が2.0%を超えて急激に上昇してきているのがわかります。

CPIはPCEよりも上昇バイアスがかかりやすいといわれてるので、グラフも上を移動しています。

政策金利とインフレ率の関係

これをみてわかる通り、インフレは2021年前半から起こり始めており、ウクライナへのロシア侵攻は直接関係がないことは明らかです。(影響はしているでしょうが)

初回の2022年3月利上げから半年たったので、効果が出るまでにタイムラグがあったとして、11月のFOMC前のCPIやPCEは表は注目したいところです。また、FOMC後の発言も重要だと考えています。

FRBが今後のインフレ率をどのように予想しているかを見てみます。こちらは9月21日のFRBサイトのプレスリリースです。(わかりやすいように日本語に翻訳したものを画像キャプチャしています)

出典:FRB 今後のインフレ予想
出典:FRB 今後のインフレ予想

2023年にPCEインフレ率が2.6~3.5%となっていますが、これは楽観的予想すぎる気がします。

2022年4月あたりがインフレが急速に始まったあたりで、PCEインフレ率が2.3%でした。最も高い数値をつけたのが2022年7月の6.8%です。この間1年3か月ですので、2022年10月から1年3か月で戻せれば2024年4月に2.3%近くまで戻せるということかもしれません。

ただし、現実はこんなにうまくインフレ率をコントロールできません。そもそも今回もインフレ率がオーバーシュートした結果、過剰に高くなっている事実があります。金融引き締めをしすぎてインフレ率が急速に下がれば行き過ぎてインフレ率が2%を下回ることにもなりかねません。(その可能性は低そうですが)

パウエル氏の発言では、景気悪化よりも物価安定の失敗(インフレ)のほうダメージが大きいということなので、FRBはインフレ率率のコントロールを優先しており、インフレ率を徐々に落としていくことになりそうです。感覚でいえば2025年に入ってから正常化するくらいではないでしょうか。

下手にインフレ率を落としすぎ ⇒ 利下げ ⇒ またインフレということは絶対に避けようとするはずです。

利下げのタイミングやペースはかなり慎重になると予想されるので、インフレ率の状況によりますが、一定期間政策金利は高止まりする可能性もあります。

2024年末までにS&P500は30%下落する

ソフトランディングは非常に困難だ。一連の引き締めが景気後退につながるのか、それがどの程度になるのかは誰にもわからない。

2022年9月FOMC会見 パウエル氏の発言

どの程度になるかは確かに正確に予想することがむずかしいですが、「景気後退につながるかわからない」は本気ではないと思います。間違いなく景気後退するだろうと思っているはずです。

実際にリセッション(景気後退)入りしたかどうかは判断がむずかしいようで、米国のざっくり定義では、GDPが2四半期マイナスになるとリセッションといわれます。

正式にはNBER(全米経済研究所)という組織が判断して発表します。明確な基準はなく、深さ・影響力・機関(depth, diffusion, and duration)によって決めるそうです。特に重要視しているのは所得と(非農業部門の)雇用と言っています。
NBERのリセッション説明はこちら:https://www.nber.org/research/business-cycle-dating

直近でいうとこれに該当するのが、2001年(ITバブル崩壊)2007年(サブプライム問題、リーマンショック)2020年(コロナショック)です。

理由リセッション時期期間騰落率
(期間内)
騰落率
(少し広め)
ITバブル崩壊2001年3月~2001年11月8カ月▲16.8%
1267.42-1054.31
▲38.3%
1530.09-944.75
サブプライム&
リーマンショック
2007年12月~2009年6月18カ月▲41.7%
1523.57-888.86
▲57.9%
1576.09-666.79
コロナショック2020年2月~2020年4月2か月▲27.9%
3393.52-2447.49
▲35.4%
3393.52-2191.86

下のチャートはそれぞれのリセッション時期のS&P500の推移です。オレンジの〇がリセッション時期、青の〇がその近くの最高値と最安値です。それぞれの騰落率を上の表にいれました。

細かい数字は取る場所によるのでどうでもよくて、S&P500でもかなり下がるということがわかると思います。およそ20%から50%くらい下げているので、今回もそれぐらいを覚悟したほうがよさそうです。

2001年ITバブル崩壊
2001年~ ITバブル崩壊
2007年~ リーマンショック
2007年~ リーマンショック
2020年~ コロナショック
2020年~ コロナショック

それでは、今回はどこまで下がるでしょうか。
これは正確には読めませんので、いくつかの下落率で考えてみます。高値を年初来最大の4818.62で考えます。

下落率を30~50%で考えると、下限の予想は以下の通りになります。現在のS&P500指数からの騰落率が一番右側です。

下落率予想S&P500指数2022/9/23時点(3758)からの騰落率
30%3373▲10.2%
40%2891.17▲23.1%
50%2409.63▲35.9%

株価は利下げ開始をしたら上がるわけではないのはこちらの記事でも紹介しました。むしろ利下げ期間中は株価が下がり続ける可能性が高いです。

これは勘ですが、今後2年近く株価が下がっていくと思われる中で、今からの下落が10%で済まないような気がしています。つまり最大からの騰落率はもっと大きくなり、2500~2800くらいの間まで下がりそうだなという気がしてます。

もう1つ気になるのは欧州で、こちらは米国よりもまずい状態だと思います。S&P500構成銘柄の売上は約25%が欧州が占めているので、無視できません。米国の景気だけでなく欧州も注視していかないといけません。特にエネルギー関連は深刻なようで、ドイツではガス輸入会社ウニパーが国営化したというニュースもありました。

インデックス投資やドルコスト平均法でも危ない

株価が下落しても平均取得価格が下がるから淡々と積立すれば大丈夫みたいなコメントを時々見かけますが、そういった幻想を過信するのはよくないと思っています。

このサイトではいくつかの記事で解説していますが、ドル・コスト平均法はボックス圏内を動くときに効果を発揮するわけで、下落し続けるなら買わないほうが絶対にいいです。

今後値段が下がる商品を分割して買うか、値段が下がってから買うかの選択はどちらがお得かと聞けば、小学生でもわかります。そしてそうなる可能性は極めて高いと考えられます。

どの商品に投資をするか

では何に投資をすればよいかとなりますが、結構難しいというのが正直なところです。

この記事を見るまでもない投資上級者の方であれば売りから入る選択はあると思います。また、個別株で市場が下がっても上がる株を見抜ければそれもよさそうだと思います。

投資に慣れていない方であれば、債券は有効な投資商品かなと思います。債券価格が下落すれば利回りは上昇します。また、米国や海外の株式を組み入れているものよりも、債券REITなどを組み入れている投資信託といった選択肢もありかなという気はします。(ただしコストが低くていい商品があるかのは調べてません)

投資先とは違いますが、現金比率を上げるというのもこのタイミングでは有効だと考えています。

他の投資手法の検討についてはこちらの記事で紹介しています。

まとめ:米国は2024年末までにここから30%下落する

ここまで読んでいただきありがとうございました。

あなたはどのように考えているでしょうか。自分は米国投資比率がそこまで高くないのですが、つみたてNISAの銘柄の割合なども変更しています。

無理はしないように投資したいですね。一番優先するのは投資から退場しないようにすることです。

ありがとうございました。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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