【比較】米国ETFと投資信託のコストシミュレーション

米国のETFを買うときに円貨決済と外貨決済はどちらがよいの?

投資信託とどっちがお得なの?

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

この記事ではこのような疑問にお答えします。

現在は投資環境が整ってきており、米国株への投資は非常に流行っています。
確かに米国は移民受け入れもあり人口は当分増加傾向と予想されています。
ハイテク関連の企業も次々と生まれており、日本に投資するより将来性があるかもしれません。

そのような米国株への投資ですが、様々な商品があります。
生じるコストも異なるため、どの商品を運用するかはよく検討する必要があります。

流行りだからという理由でよく調べず思考停止して投資しまうのは非常に危険です。

円貨決済と外貨決済の違いはこちらもご覧ください。

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【米国ETF】米国株式取引で円貨決済、外貨決済の差はほとんどない 円貨決済と外貨決済の決済方法の仕組みやコストの違いについて解説します。 結論としては、円貨決済と外貨決済でそこまで変わるものではありませんでした。
目次

米国株へインデックス投資する方法

米国株のインデックスに連動する商品を買う方法はいくつかあります。
この記事では以下の3つの商品についてコストを比較します。

  1. 米国ETF(VOO)を円貨決済で購入する
  2. 米国ETF(VOO)を外貨決済で購入する
  3. 投資信託(S&P500連動)をつみたてNISAで購入する

※VOOを対象としたのは、積立NISAの商品(S&P500連動)と比較しやすくするためです。

VOO以外のティッカーの解説をしていますのでこちらも参考にしてください。

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米国ETFを円貨決済で購入する

米国ETFを円貨決済で購入するのは以下のようなイメージです。

ETFを円貨決済するイメージ

円貨決済の場合、ドルを自分で保有しておく必要はありません。
購入時に証券会社がドルを購入してくれると考えてください。

その際、ドルを購入するコスト(為替スプレッド)は1ドルあたり25銭程度の証券会社が多いです。
また、証券会社によってはETFを購入する取引手数料が発生することもあります。
売却時にも為替スプレッドが発生することになります。

米国ETFを外貨決済で購入する

米国ETFを外貨決済で購入するのは以下のようなイメージです。

ETFを外貨決済するイメージ

外貨決済の場合、別途銀行などで自分でドルを購入する必要があります。(ドル転)
おおよそ1ドルあたり4銭~程度の為替スプレッドとなります。
日付指定などでドル購入を自動化できる銀行もあります。

購入した外貨を証券会社へ送金する必要があります。
送金手数料が必要になる場合もあります。

ETFの購入は円貨決済と同様証券会社で行います。

投資信託をつみたてNISAを購入する

投資信託を購入するのは以下のイメージです。

つみたてNISAで購入するときは、対象のファンドを選びます。
例えばSBI証券の場合は「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」など。

SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは厳密にはファミリーファンド方式をとっていますが、ここでは詳細は割愛します。

上記の対象のファンドが、米国の投資対象のファンド(ここではバンガードS&P500)へ投資します。
バンガードが米国の各種株式を購入する流れです。

積立NISAの場合、購入手数料、売却手数料(信託財産留保額)はかかりません。
ただし、保有期間中は信託報酬手数料がかかります。

上記のS&P500の場合、ファンドの信託報酬手数料は0.0638%、投資対象ファンド(上記ではバンガード)の経費率が0.03%で合計0.0938%です。

リターンを比較する

それでは、上の3つの方法についてリターンを比較します。
円貨決済については、取引手数料がある場合とない場合の2種類を比較します。

前提条件として以下のような条件とします。

実際には最低購入金額などがありますが、ここでは毎月3万円を積み立てることとします。
※わかりやすくするために30000円で購入可能だとします。

ETFには配当金が出ることとします。
その代わり、投資信託は上昇率を0.5%高くします。

比較基準価格為替コスト為替スプレッド為替スプレッド(円)手数料(ドル)手数料込み(円)3万円で購入できる量経費率(%)上昇率(%)分配利回り(%)売却手数料(%)
円貨決済①(VOO)400USD115円/ドル25銭/ドル10000260.30ドル0.0331.30.495
円貨決済②(VOO)400USD115円/ドル35銭/ドル1402230258.79ドル0.0331.30.5
外貨決済(VOO)400USD115円/ドル2銭/ドル(買い)
4銭/ドル(売り)
800260.82ドル0.0331.30.495
つみたてNISA(S&P500)15000円0030000円0.09383.500
円貨決済①は 買付時取引手数料なし 売却時0.495% 
円貨決済②は 取引手数料0.5%
外貨決済は 買付時為替スプレッド2銭/ドル 売却時4銭/ドル 買付時取引手数料なし 売却時0.495%

上記の条件で20年間積み立てた場合、下記のような評価額の推移を示します。

上記は商品保持状態での評価額です。
売却して円に戻したときには以下のようになります。(一番右側が最終的な利益)

ケース20年後評価額(ドル)売却手数料(ドル)差し引き(ドル)円換算115円/ドル(円)為替スプレッド(円)実質評価額(円)投資金額元本譲渡益税金差し引き利益分配金課税後合計利益合計
円貨決済①86,163.06426.5185736.56¥9,859,704¥21,434¥9,838,270¥7,200,000¥2,638,270¥535,965¥2,102,305¥830,983¥2,933,289
円貨決済②85,661.35424.0285237.33¥9,802,293¥21,309¥9,780,984¥7,200,000¥2,580,984¥524,327¥2,056,657¥826,145¥2,882,801
外貨決済86,335.29427.3685907.93¥9,879,412¥3,436¥9,875,976¥7,200,000¥2,675,976¥543,624¥2,132,351¥832,644¥2,964,996
つみたてNISA¥10,426,575¥7,200,000¥3,226,575¥0¥3,226,575¥0¥3,226,575

この場合、最もリターンが良いのはつみたてNISAで投資信託を利用することでした。

米ドル株の運用をするときに最も影響を受けるのは為替レートです。
仮に売却するときに円安になっていて、120円/ドルになったとします。
※20年後の評価額は同じにするため、運用中は115/ドルに固定されていたとします。

ケース20年後評価額(ドル)売却手数料(ドル)差し引き(ドル)円換算120円/ドル(円)為替スプレッド(円)実質評価額(円)投資金額元本譲渡益税金差し引き利益分配金課税後合計利益合計
円貨決済①86,163.06426.5185736.56¥10,288,387¥21,434¥10,266,953¥7,200,000¥3,066,953¥623,051¥2,443,901¥830,983¥3,274,885
円貨決済②85,661.35424.0285237.33¥10,228,480¥21,309¥10,207,170¥7,200,000¥3,007,170¥610,907¥2,396,264¥826,145¥3,222,408
外貨決済86,335.29427.3685907.93¥10,308,952¥3,436¥10,305,515¥7,200,000¥3,105,515¥630,885¥2,474,630¥832,644¥3,307,274
つみたてNISA¥10,426,575¥7,200,000¥3,226,575¥0¥3,226,575¥0¥3,226,575

この場合、最もリターンがよいのは外貨決済でETFをすることです。

逆に円高になった場合はどうなるでしょうか。
売却時110円/ドルの為替レートだったとします

ケース20年後評価額(ドル)売却手数料(ドル)差し引き(ドル)円換算110円/ドル(円)為替スプレッド(円)実質評価額(円)投資金額元本譲渡益税金差し引き利益分配金課税後合計利益合計
円貨決済①86,163.06426.5185736.56¥9,431,021¥21,434¥9,409,587¥7,200,000¥2,209,587¥448,878¥1,760,710¥830,983¥2,591,693
円貨決済②85,661.35424.0285237.33¥9,376,106¥21,309¥9,354,797¥7,200,000¥2,154,797¥437,747¥1,717,050¥826,145¥2,543,195
外貨決済86,335.29427.3685907.93¥9,449,872¥3,436¥9,446,436¥7,200,000¥2,246,436¥456,363¥1,790,072¥832,644¥2,622,717
つみたてNISA¥10,426,575¥7,200,000¥3,226,575¥0¥3,226,575¥0¥3,226,575

円高になると売却時には悪影響になります。
ただし、これは売却時のみ円高or円安で計算しています。
投資途中で円高になっていれば、同じ円でも買えるドルが増えるため、相対的に購入額が増える(評価額が上がる)ことになります。

まとめ:リターンは状況次第で変わるが、影響を理解しておく

いかがでしょうか。

この記事の細かい計算が合っているとか間違っているということは問題ではありません。
現在であれば、節税する方法もあります。

この話はあくまで、上昇率や分配金などを一定の話で進めています。
そのため、身も蓋もありませんが実際には状況によってなにが一番リターンが高いかは変わります。

ただし、どういう事象が発生するとどう影響するのか(例えば為替レートなど)を理解しておく必要があります。

私はこの記事を書くまで円貨決済よりも外貨決済が得だと思っていました。
実際そうなのですが、正直いうと円貨決済でも変わらないなという気がしてます。

米国ETFへ投資したほうがよいとか、外貨決済のほうが良いといった話を聴いただけで始めるのではなく自分で十分検討してから投資を始めましょう

ありがとうございました。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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