この記事は2022年3月期第3四半期決算短信までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。
銘柄分析にはマネックス証券の銘柄スカウターがおすすめです。

結論
中期的には安定的(数字にして10%程度)に成長するとみています。
現在の株価4000円(2022年3月20日時点)は、まだ割安な水準と判断しています。
PER15倍程度を妥当とみれば、22.3期の決算数値で5000円程度まであがると予想しています。
5000円を超えると上値が重くなりそうな気がします。
ストーリー
野村マイクロサイエンス(6254)は超純水に特化した水処理ソリューションを提供する会社である。
超純水は半導体デバイスやFPD(フラットパネルディスプレイ)や医薬品等に使用されており、電子機器や医薬品の生産に欠かせないものである。
同社は業種別売り上げとしては8割超を半導体関連が占めており、製薬が10%超であるため、その2つで9割以上を占める。
売上の比率としては、海外(主にアジア)が約63%、日本が36%程度となっている。
1980年代から韓国、台湾へ進出しており、中国も含め強固な基盤を持っていることはプラスである。
半導体を中心に受注は躍進しており、連続最高益を記録している。中期経営計画では24.3期の売上は415億円を見込んでおり、引き続き最高益を更新する予定。
20年にJASDAQから東証2部へ、21年に東証1部へ移動しており、22年4月からはプライム市場への移動を予定している。
21.3期の決算数値では特にROE、ROICの数値が高い。
PBRは2倍超、PSRは1倍を超えているため、時価総額の観点では割安感はない。
研究開発はされているが、投資CFはそれほど大きくない。
ここ数年では従業員数の増加がほとんどないことも懸念材料。
そのため、従業員増と投資CF増がされると投資がしやすくなると感じる。
※ただし、経営理念の中ではいたずらにスケールメリットを求めないとなっている。
2022年3月20日時点で株価は4000円。PER15倍程度が妥当とみると、22.3期の決算発表で5000円程度までは上がると予想する。その後は業績の成長とともに株価も上昇するとみるが、上値が重くなると予想する。
企業概要・ビジネスモデル
【決算】3月
【設立】1969.4
【上場】2007.10
【特色】超純水装置の大手。北興化学から分岐。韓国、台湾企業向け開拓で先駆、韓国サムスンと取引多い
【連結事業】水処理装置98、他2
【海外】63 <21・3>
【業種】 設備機器・部品 時価総額順位 37/118社
セグメントとしては、ほぼ水処理関連と言って差し支えない。

半導体関連が売り上げの8割を超える。
製薬も約10%程度となっている。

事業に影響しそうな要因
PEST分析やSWOT分析などをイメージした要因を羅列します。
- 最高純度の水を提供する超純水専業メーカー
- 海外市場(アジア地域)で強固な事業基盤を構築(1980年代から韓国・台湾へ進出)
- 対応力と技術力あり
- 韓国、中国を中心に工場建設・増設多数、国内では半導体製造装置、個別半導体、製造用薬品等の投資が加速
- 採算については受注競争の激化により大型装置の採算性低下が避けられない状況
- 半導体メーカーの対応強化(成長率10%)
- バイオ製剤・ワクチンを中心とした内需製薬関連投資が活発化
- ワクチン製造会社への継続投資
- 中期経営計画がわかりやすい
- 中期経営計画の数値を大幅上方修正
- 従業員数が増えていない
財務分析
画像はバフェット・コードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/6254/financial

売り上げは20.3期にマイナスになっていますが、そこを除くと概ね増加傾向にあります。
利益率とROEが増加傾向なのがプラス材料です。
売上高総利益は22.3期で約75億円で、通期予想の修正もないので右肩上がりの数字になる想定です。

直近のEPSは増加傾向で、22.3期は約328円の予想となっています。
22.3期の配当予想は通期で85円です。
配当性向は約26%で、2022年3月20日時点の株価4000円だと配当利回りは約2.15%程度です。

22.3期も21.3期程度の営業CF、FCFになるものと思われます。
※22.3期の上期資料では、営業CFは金融機関休日の兼ね合いでマイナスになっていました。
22.3期第2四半期末時点で現金同等物は約70億円の残高があり、キャッシュに問題はないと判断。

22.3期のROEは若干下がる予想(約20%)ですが、それでも十分に高水準になると思います。
ここ数年で財務レバレッジはほとんど変わっておらず、ROAが高まることでROEが高まっています。

従業員数があまり増加していないところは少し気になります。
営業利益などは増加しているので、ひとりあたりの利益が増加しています。
売り上げ全体を増やしていくために、従業員数自体も増えてほしいところです。
【その他】
22年3月期決算数値からは ROIC > WACC 、 EVA > 0 であり、事業に問題ないと判断しています。
β値を高くとっているので、WACCが高くなっています。(β値=1.55)
ROICがかなり高い数値になっているところもプラス材料です。
ここには載せていないがPBR(株価純資産倍率)は2倍、PSR(株価売上高倍)は1倍をこえており、時価総額からの割安感はありません。
有利子負債 1,469,000,000 (17.6%)
株主資本合計 12,331,393,000 (82.4%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計=14,960,189,000
営業利益 3,972,959,000
実行税率 27.5%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100) = 2,880,395,275
ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 19.25%
借りたお金の金利 3%とする。
借りた資金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 2.175%
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=1.55とする。(バフェット・コードの値を採用)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=11.205
WACC =(2.175*0.176)+(11.205*0.824)≒ 9.62
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC ≒ 1,441,486,376
中期経営計画は数値を大幅に上方修正しています。
KPIとして売上415億円、営業利益率12%としています。

株価の想定
株価(3/20) / EPS = PER
4000 / 284.8 ≒ 14.05 【21.3期実績EPS】
4000 / 325.38 ≒ 12.29 【22.3期予想EPS】
年度 | EPS(円) | 1年前 | 2年前 | 3年前 |
---|---|---|---|---|
19 | 113 | |||
20 | 139.1 | 23.1% | ||
21 | 284.8 | 104.7% | 58.8% | |
22(予想) | 328.38 | 14.2% | 52.9% | 42.3% |
23(予想) | 347.6 | 6.8% | 10.5% | 35.7% |
24(予想) | 387.98 | 11.6% | 9.2% | 10.9% |
PER = 株価 × 株式数 / 当期純利益
14.05 ≒ 4000 × 9,198,840 / 2,618,381,000 【21.3期実績純利益】
12.18 ≒ 4000 × 9,198,840 / 3,022,000,000 【22.3期予想純利益】
13.70 ≒ 4500 × 9,198,840 / 3,022,000,000
15.22 ≒ 5000 × 9,198,840 / 3,022,000,000
16.74 ≒ 5500 × 9,198,840 / 3,022,000,000
株価 = PER / 株式発行数 × 当期純利益
4928 ≒ 15 / 9,198,840 × 3,022,000,000【22.3期予想純利益】
6570 ≒ 20 / 9,198,840 × 3,022,000,000
5218 ≒ 15 / 9,198,840 × 3,200,000,000【23.3期予想純利益】
6957 ≒ 20 / 9,198,840 × 3,200,000,000
5820 ≒ 15 / 9,198,840 × 3,569,000,000【24.3期予想純利益】
現在の株価4000円(22年3月20日時点)は、22.3期予想EPSの325円だとPERは約12倍。
中期経営計画では24年3月期の売上目標は415億円です。
21.3期の純利益率8.6%を使用すると、24.3期の当期純利益予想は35億円となります。
PER15倍程度を妥当と判断すると、現在の株価は割安とみます。
22.3期決算がでれば、5000円までは上がりそうですが、そのあたりで上値が重くなりそうです。
まとめ
この数か月で株価が下がっているため、割安な水準にあると判断しています。
中期的には成長を続ける想定なので、株価も徐々に上昇していく予想です。
ありがとうございました。
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