米国株よりも、実は日本のほうがヤバイかもしれないという現実

こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。

近頃日銀の話題をニュースでもよく見かけます。米国株式市場はインフレからの利上げがひと段落して、今後リセッション(景気後退)があるかもしれない状況です。一方で日本国内の経済は米国ほど問題がありそうという報道はありませんが、実は日本のほうが危険かもしれないという話です。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 日銀の国債買い入れが増えており、YCCは機能しなくなる
  • 金利上昇許容(金利差縮小での円高)でも、現状維持(インフレ率上昇)でも経済にはマイナス
  • よってどちらにしても日本経済は危険。かなり危機的状況なのでは
目次

金融政策決定会合の会見では金融政策は現状維持

18日の日銀黒田総裁の会見では金融政策は現状維持ということでした。現実的に、今は現状維持というしかないだろうなと思いますが、気になる点はいくつもありました。

まず、物価は来年度半ばにかけてプラス幅が縮小見込みとのことでした。縮小の要素がエネルギー価格が押し下げるということでしたが、そもそもエネルギー以外も十分高い値になっていますし、個人的にはエネルギーもすぐには縮小しないと思います。

日本全体のCPI

総務省統計局:2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)11月分(2022年12月23日公表)

インフレ率が上がってる分はどうなるのというと、賃金が上昇する見込みだというのも結構楽観的だな思います。こちらは日銀のせいではないかもしれませんが、法人税増の話もでているので岸田内閣は逆の動きをしていますね

また、YCC(イールドカーブコントロール)について持続可能性は十分担保されるというのも、本当かと疑っています。また、国債の大量購入も問題ないという回答でした。YCCの持続性も含めてこれはかなり疑問です。

日本の国債買い入れ状況

まず、日本の国債残高は約1,000兆円で、対GDP非で見ると他の先進国と比べて極めて高い水準という前提があります。

出典:財務省
出典:財務省

出典:財務省「4 日本の借金の状況

国債買入が増加している

このところの日銀の買いオペの金額はめちゃくちゃ大きな金額になっています。特に昨年12月20日以降のYCC(イールドカーブコントロール)の金利上限を0.25%から0.5%程度に引き上げたところから増加傾向にあるように見えます。

日付国債買入
(兆円)
国債補完供給
(兆円)
12/130.11.3
12/141.61.1
12/150.31.3
12/160.11.8
12/1942
12/201.92.7
12/210.33.8
12/221.33.3
2022年末の一部を抜粋
日付国債買入
(兆円)
国債補完供給
(兆円)
1/111.23.5
1/124.63.8
1/135.05.2
1/162.18
1/171.08.7
1/180.18.4
1/1908.7
1/201.98.0
2023年1月の一部を抜粋

上記の数値は日銀HPを参考にしています。
参考:日本銀行「オペレーション(日次公表分)

2022年1月の1カ月の国債買い入れ金額は約5兆円程度でした。2022年はそこから増加していって10兆円前後まで増えてきていました。それを考えると1日に数兆円という金額がどれだけ大きいかがわかると思います。

参考:日本銀行「オペレーション 月次公表分

市場では国債を売却しようとしている

現実的に日銀がすべての国債を買うことなどありえませんが、現時点でも日銀が買い占めすぎているために影響が出てしまっています。それが上の表の「国債補完供給」です。これは国債の流動性を担保するために日本銀行が保有する国債を金融機関など市場参加者に一時的に供給する制度です。

1月の16日週からは1日当たり約8兆円となっていて、金額が大きくなっていることがわかると思います。これは国債の取引をしたくても実際には市場に出回ってないということです。さらにいえば、なぜそんなに国債の取引が行われるのかと言えば、国債を売ろうとしている人がたくさんいるからです。(ヘッジファンドなどの国債の空売りともいわれていますが、実際にはわかりません。)

一般的に長期金利が上昇すると債券価格は下落するので、今後長期金利が上昇すると考えるなら債券価格が高いうちに売却したいということです。(だけど市場にないので国債補完供給オペで調達するしかない)

債券価格と金利の関係
債券価格と金利の関係

参考:日本証券業協会「債券価格と金利って、どういう関係なの?

10年物国債はYCCがあるので日本も逆イールドは発生している

米国の10年物と2年物の逆イールドは私も気になっていますが、実は日本の国債利回りも逆イールドは発生しています。

ただ、日本の場合は自分たちで逆イールドを発生させているのでかなり歪な構造といえます。

日本の国債利回り比較
日本の国債利回り比較

今後考えられる対策は?

こんなことが続くのかというとはっきり言えば無理だということになります。国債1,000兆円のうち、500兆円を超える国債を日銀が保有しており、50%を超えています。1月の半分で15兆円程度買い入れていることからひと月ごとに30兆円程度の買付をしたとすれば、残りは500兆円なのでこのままではあと2年も持ちません。

そうすると考えられそうなのは、、、

対策経済状況為替経済への影響その他
YCCの撤廃悪化円高長期金利急上昇、経済悪化オーストラリア中銀が失敗してる
YCCの上限を0.75へ悪化円高円高による経済悪化一番現実的?ただし、さらに金利上昇が続くはず
現状維持悪化緩やかな円高インフレが続く。経済は悪化現実的に難しいのでは。国債の買い入れ限度は近い。為替は米国の利下げに伴い円高になる予想。(通常なら現状維持は円安になるはず)
国債を増やす悪化円高金利上昇?結局日銀が買いオペをしてしまいそう。愚策
考えられそうな対策と予想される影響

大きく分ければ長期金利上昇を許容するのか、しないのか(つまり現状維持)になりそうな気がしています。日本は後者を選択してますね。本来であれば金利上昇しそうなものですが、今は市場の動きを無理やり日銀が抑え込んでいる形です。会見での市場機能が是正されたというのも言ってることがかなり意味不明な感じがします。

私は詳しく知りませんでしたが、YCCの撤廃はオーストラリア中銀が以前に大失敗しているようで、これはなかなかハードルが高そうです。

参考:bloomberg「豪中銀がYCC総括、停止の混乱で信頼に打撃-ガイダンスも反省

現状維持というのも国債の買い入れに限界があることから現実的に難しいと思います。市場が今よりも高い金利(安い債券価格)と想定しているのに対抗するのはどうなのかなと感じます。国債増発もよくないなと。

すると現実的にありそうな対策はYCCの上限緩和になりそうな気がしますが、こちらも日米の金利差縮小による円高は起きるはずなので、日本経済にとってはプラスにはならないと思います。

23日は共通担保資金供給オペで国債利回りが低下しましたが、このオペの効果は続くか不明です。多分、現在は他の対策を考えているのではと思います。本質的な解決にはならないと思いますが。

つまり、どんな対策をしても経済は悪化しそうだなというのが今の想定です。なかなか詰んだ状況だと感じます。

国は守ってくれないと思ったほうがいい

もしかすると米国は危ないかもしれないけど、日本株は安全と思っている人もいるかもしれません。経済の雑誌などを見ても2023年は日経平均3万円越えだと書いているものも見かけます。

もちろん、経済がこのまま成長する可能性がないとは言いません。私もすぐに日本経済がダメになるとは思っていません。ただし、こういった楽観的な観測を鵜呑みにしすぎるのはよくないと思います。結局経済が悪化したとしてもツケを払うのはあなた(国民)です。

とはいえ、黒田総裁はもうすぐ任期が終わるので、この後どうなっても逃げ切りです。本当のところどう思ってるのか聞いてみたいものです。(そんなことはできませんが)

ありがとうございました。

【インフレ以上のリターンを安全に狙う投資】
私は不動産投資型クラウドファンディングがおすすめしています。
COZUCHIは過去の平均利回りの実績(予想ではなく!)が23.1%で元本毀損は一度もありません。
なぜ低リスクで年利20%以上のリターンが出せるのか?こちらで解説しています。

クリックして応援してくれると嬉しいです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

目次