ジャクソンホール会議でのパルエルFRB議長の演説により、8月26日のNYダウは終日ほぼ下落し続け、約1,000ドル安の展開となりました。日本株も29日はこの動きに引きずられた形で大幅に下落しました(30日にはかなり戻しましたが)
市場に大きな影響を出した内容は、「(インフレ抑制を)やり遂げるまでやり続けなければならない」ということです。少々米国経済が悪くなってもインフレ抑制が最優先だという強いメッセージとなっています。
これにより、金融引き締めの長期化するのではという予測から売りが先行した形になりました。
7月のFRB議事録では利上げペースを緩めるのが適切だという認識で一致したという報道もされていましたが、今回の発言はある意味ではそれを覆すものです。
- FFレートは4%ちょっとくらいを目安に来年序盤でピークになり、その後下落するのではないか
- 現在は米国のインフレ率がピークアウトした感があるが、油断できないかもしれない
- 年内くらいはFRBの発言などで大きく動く可能性があるので、あまり強気にならずキャッシュポジションをふやしたほうがいい
FFレートは4%を超えたあたりがピークとなりそう
2022年7月に0.75%の利上げが行われたので、現在のFFレートは2.50%となっています。7月のインフレ率が鈍化したことで、9月の利上げ幅は0.5%になるかと思われましたが、この発言で0.75%が続く可能性も出てきました。

仮に9月FOMCで0.75%の利上げとなるとFFレートが3.25%まで上昇します。
今後のインフレ率次第となるかもしれませんが、2023年にも1度利上げが実施され、4.25~4.5%程度まで上昇するのではないかと思っています。その後2023年中ごろから徐々に利下げに踏み切るのではないかと予想しています。
米国の経済指標は下落しつつある
米国の各種経済指標の値は下落しつつあるように見えます。8月に発表された米国CPIは8.5%上昇(前年同月比)と、7月8月ともに上昇率が鈍化しています。ISM 製造業景況指数も50%を超えていますが8月発表は52.8と下落しつつあり、9月の結果次第ではさらに景気の減速感が出てきます。
公表日時 | CPI(消費者物価指数) | 公表日時 | ISM 製造業景況指数 |
---|---|---|---|
2022年09月13日 (8月) | ? | 2022年09月01日 (8月) | ? |
2022年08月10日 (7月) | 8.5% | 2022年08月01日 (7月) | 52.8 |
2022年07月13日 (6月) | 9.1% | 2022年07月01日 (6月) | 53.0 |
2022年06月10日 (5月) | 8.6% | 2022年06月01日 (5月) | 56.1 |
2022年05月11日 (4月) | 8.3% | 2022年05月01日 (4月) | 55.4 |
ただし、CPIに関してはこの期間はWTI原油先物の価格がかなり下落したように、ガソリンのようなエネルギー価格の低下が牽引していた面もあるため、9月発表の数値についても中止が必要です。
また、雇用統計も悪い数字ではないため、インフレ率はピークアウトしたように見えてはいますが、まだ予断を許さない状況と言えるかもしれません。
年内の米国市場は値動きが荒いかもしれない
結論としては、今回の演説で26日に大きく下落したようにFRBの発言によって大きく市場が反応する可能性があると思います。最近タカ派の発言が多いので、特にインフレ抑制に関しては強気の姿勢を見せるかもしれません。
投資戦略としては投資信託や米国ETFの積立購入といったドルコスト平均法的な投資はそのまま続けて問題ないと思います。ただし、米国の個別株でも特に景気敏感株や高PERのハイテク株などの積極的な投資は控えてキャッシュポジションを増やしたほうが良さそうです。
短期的には日本国内株のほうが運用しやすい状況かもしれません。とはいえ、長期的には米国市場の成長性は信じているので投資するなら年末か来年序盤あたりがチャンス(株価がさらに下がった状態なのでは)と予想しています。
ありがとうございました。
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