こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
近頃SNSを見ているとVYMの人気が上がってきているように感じます。
米国株式市場は2022年全体的に不調で、2023年もリセッション(景気後退)が懸念されているので、キャピタルゲインを狙うETFよりも比較的リスクが低くインカムゲインを狙うVYMのようなETFに人気が集まってくると予想しています。

私もVYMの積立をしています。
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インカムゲインを狙うETFといいましたが、実際にいくらくらい分配金をもらうことができるのでしょうか。VYMで配当金生活ができるのか検討してみます。


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VYMはどのようなETFか?
まず、VYMがどんなETFなのかを簡単に説明します。VYMはバンガード社が運営するETFでバンガード・高配当株式ETFです。(Vanguard High Dividend Yield ETF)
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の基本情報
VYMの基本情報は以下の通りです。
基準価額(米ドル) | 106.85 (2023/04/28) |
純資産総額(百万米ドル) | 49,777.5 (2023/04/28) |
直近分配金(米ドル) | 0.7172 (2023/03/20) |
分配利回り | 3.09% |
分配金回数/年 | 年4回 |
経費率 | 0.06% |
設定日 | 2006/11/10 |
分配金は約3%ですので、実際にはそこまで高い数字ではありません。ただし、経費率は0.06%と米国ETFの中でも安い部類です。また、メインはインカムゲインですが、基準価額の上昇が期待できないわけではありません。長期的にはキャピタルゲインも狙うことができる銘柄です。
同じく高配当ETFのSPYDやHDVをこちらの記事で紹介しています。


2023年のVYM権利落ち日、権利確定日、支払日一覧
2023年のVYMの権利落ち日は以下のようになっています。
月 | 権利落ち日 【Ex-dividend date】 | 権利確定日 【Record date】 | 支払日 【Payable date】 | 分配金(米ドル) 【$/Share】 |
---|---|---|---|---|
3月 | 3/20 | 3/21 | 3/23 | 0.7172 |
6月 | 6/20 | 6/21 | 6/23 | ー |
9月 | 9/18 | 9/19 | 9/21 | ー |
12月 | 12/18 | 12/19 | 12/21 | ー |
参考:バンガード社「2023 Dividend schedule (PDF)」
VYMの分配実績と増配率
過去の分配金実績等増配率は以下のようになっています。年4回の分配なので平均分配金は合計を4で割った値としています。2023年は平均分配金に3月分配金を記載しました。増配率は平均分配金の金額で計算しています。
2023年の1回目の分配金は平均と比較すると少なめですが、例年年末にいくにしたがって分配金が増える傾向があるので、最終的には前年比プラスになる可能性は高そうです。
年 | 合計分配金(米ドル) | 平均分配金(米ドル) | 増配率(前年比) |
---|---|---|---|
2023年 | ー | 0.7172 | ▲11.78% |
2022年 | 3.2518 | 0.8130 | 5.03% |
2021年 | 3.0961 | 0.7740 | 6.54% |
2020年 | 2.9061 | 0.7265 | 2.26% |
2019年 | 2.8418 | 0.7105 | ー |
2022年 | 分配金(米ドル |
---|---|
合計 | 3.2518 |
2022年12月 | 0.9745 |
2022年9月 | 0.7672 |
2022年6月 | 0.8479 |
2022年3月 | 0.6622 |
VYMの上位構成銘柄とセクター比率
構成銘柄上位の銘柄割合とセクター比率は以下のようになっています。セクターの構成割合を見るとわかりやすいのですが、金融、ヘルスケア、生活必需品などの割合が多く、情報通信などの割合はかなり低めです。
VYMは高い配当利回りの銘柄で構成されています。いわゆるGAFAに代表されるようなグロース株ではなく、下表のような成熟した企業が組み入れられています。
ティッカー | 銘柄 | 割合 |
---|---|---|
XOM | エクソンモービル | 3.31% |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | 3.28% |
JPM | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 2.63% |
CVX | シェブロン | 2.54% |
PG | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 2.30% |
HD | ホームデポ | 2.19% |
LLY | イーライリリー&カンパニー | 2.18% |
PFE | ファイザー | 1.88% |
ABBV | アッヴィ | 1.85% |
MRK | メルク | 1.83% |
セクター別の構成割合は以下のようになっています。上で説明した通り、高配当利回りの銘柄が多いセクターの構成割合が多くなります。
セクター | 構成割合 |
---|---|
素材(Basic Materials) | 3.60% |
一般消費財(Consumer Discretionary) | 8.60% |
生活必需品(Consumer Staples) | 12.70% |
エネルギー(Energy) | 11.20% |
金融(Financials) | 20.20% |
ヘルスケア(Health Care) | 15.20% |
資本財(Industrials) | 10.40% |
情報技術(Technology) | 5.90% |
通信サービス(Telecommunications) | 4.60% |
公益事業(Utilities) | 7.60% |
参考:バンガード社 VYM説明
URL:https://investor.vanguard.com/investment-products/etfs/profile/vym#ot-fltr-modal
VYMの株価チャート推移
直近1年間の株価チャートは以下のようになっています。


株価がそんなに伸びていないように感じますが、米国株式の他の指数と比較すると決して悪くないことがわかります。
VYMとVOO(S&P500)、VGT(情報技術セクター)との比較
以下のチャートはVYM(赤色)のほかに、VOO(S&P500に連動するETF:オレンジ色)、VGT(情報技術セクターに連動するETF:青色)を並べています。
2022年に関して言えば、VYMの運用成果は圧倒的に優れています。2022年は米国株式市場全体が下落基調であったので、VYMがディフェンシブなETFだということがわかります。


VYMの配当金シミュレーション 月5万円の配当金をもらうには
実際にいくら投資すればVYMの分配金として月5万円もらうことができるのでしょうか。VYMの分配金は実際には年4回なので、ここでは年間60万円(月換算で5万円)もらうにはいくら投資が必要なのかを考えてみます。
配当金を月5万円もらうための投資資金を計算
配当利回りを3%と考えると、以下の計算になります。
投資必要額 × 0.03【配当利回り】 × (1-0.20315)【税金を除いた利益】= 60万円【必要な利益】
投資必要金 = 60万円 ÷ 0.03 ÷ 0.79685
投資必要額 ≒ 2,500万円
月に10万円の配当金をもらうにはこの倍になるので、必要投資資金は約5,000万円となります。
一般的に言えば2,500万円でも現役世代の若い年代だと投資するには厳しいのではないでしょうか。さらに、これはすべての金額をVYMにきっちり投資することになるので現実的にはもっと余裕を持った投資をすることが望ましいです。
ちなみに、日本経済団体連合会(経団連)が発表している退職金・年金に関する実態調査結果(2021年9月度資料)によると、いわゆる総合職の60歳での退職金はおよそ2,000万円~2,500万円でした。全額退職金をVYMにつぎ込むのも現実的ではありませんが、これを利用すれば比較的容易に投資資金を準備できます。
参考:日本経済団体連合会「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」
VYMに投資するときの注意点
大きく株価の上昇を狙うETFよりもリスクは小さめとはいえ、VYMに投資するときにも注意が必要な点があります。
米国株式市場全体が下落するときには損失が出る可能性あり
2022年がまさにその年で、2023年もリセッション(景気後退)のリスクが高い年になります。上のチャートでは2022年はVYMはぎりぎり損失がでない運用成績となっていました。
VYMはディフェンシブなETFで下落に強いことは上のチャートでもわかったと思いますが、損失がでないわけではないので、過度な期待はリスクが高くなります。
分配金は二重課税対象 確定申告で外国税額控除が必要
二重課税とは、まず米国で10%課税され、その後日本国内で20.315%の課税がされることです。つまり、米国ETFの分配金は約30%の課税がされています。
これを解消するには確定申告で外国税額控除が必要になるので、実はかなり面倒です。ただし、外国税額控除をしないと高配当のETFに投資している意味がほとんどなくなってしまいます。
参考:国税庁「No.1240 外国税額控除」
外国税額控除の具体的な方法はこちらの記事を参考にしてください。


円高になると損失が発生しやすい
2022年は大きく円安に動いた年でした。最大で1ドル=115円から150円程度までうごいたので、約35円円安になりました。現在はそこから戻りつつあり、2022年12月12日時点では1ドル135円~140円の間で推移しています。


円高に動くと相対的に米ドル資産の価値が下がることには注意が必要です。今後は米国の利下げが始まることがほぼ確実なので、日米の金利差が小さくなれば円高になる可能性が非常に高いです。以下はFedWatchツールで見る予想です。よくぶれますが2023年中には利下げがされると考えられます。


為替の影響については下の記事で解説しています。私は為替相場に影響されたくないので、米ドル資産は債券なども含めて外貨決済で対応しています。


まとめ:VYMだけで配当金生活をするのは少し厳しい
結論としては、VYMだけの投資では大きな分配金を得るのは難しいと考えています。とはいえ、VYMは優秀なETFであることに変わりなく、私も個人としてはVYMの積立を続けています。
特に長期投資に向いているETFだと思いますので、米国ETFへの投資をはじめてみるのも良いと思います。ただし、外国税額控除の確定申告はしたほうが良いので、その点は認識しておいてください。
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