こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
公的年金の運用が赤字になっているというようなニュースを耳にしたことがあるのではないでしょうか。年金積立金を管理・運用しているのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という組織です。
200兆円近い資金を運用しているGPIFは「クジラ」とも称される世界最大規模の機関投資家です。国民の年金を運用する機関ですので、重要なことは長期的な目標を定めて安定的に運用していくことです。
そのため、リスクを抑えて安定した投資をしたいと考えている人や、投資初心者の方には参考になるアセットアロケーション(資産配分)なので、参考にしてみるのはいかがでしょうか。
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GPIFとは?
GPIFは現在の年金給付の財源を運用で生み出しているわけではありません。現在の余剰分を運用して、未来の不足分にたいして補填できる積立金を作っています。
そのため、現在の運用が短期的にプラスになろうがマイナスになろうが年金額に影響はありません。

参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「GPIFってなに?」
これが年金制度が簡単には破綻しない理由です。
財政検証における積立金額(名目)の推移を見ると、ケースによってピークの時期は異なるものの、およそ50年後までは積立金の元本を取り崩す必要がなく、運用方針を維持できることが見込まれます。
基本ポートフォリオの変更について(詳細)一部抜粋
未来永劫問題ないということではありませんが、すくなくとも今後数十年にわたって年金の財源が完全に枯渇するということはあり得ないといえます。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「基本ポートフォリオの考え方」
GPIFのポートフォリオ
2022年度のGPIFのポートフォリオ(厳密にいえばアセットアロケーション(資産配分)といったほうが正しい気がします)は以下のようになっています。
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | |
---|---|---|---|---|
資産構成割合 | 25% | 25% | 25% | 25% |
乖離許容幅(各資産) | ±7% | ±6% | ±8% | ±7% |

素晴らしくきれいな資産配分をしています。常にこれが最適というわけではなく、GPIFの目標とするリターンや今後の状況を検討した結果、中長期的な配分として今はこれが最適となったということです。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「2022年度の運用状況(運用資産額・構成割合)」
もう少し詳しく見てみると、パッシブ運用とアクティブ運用の比率は以下のようになっています。こちらは2022年度はまだ公開されていないので、2021年度の運用状況です。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「2021年度の運用状況(業務概況書・データ集)」
パッシブ運用及びアクティブ運用の割合の推移[EXCEL:14KB]
種類 | 全体 | 国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 |
---|---|---|---|---|---|
パッシブ運用 | 85.21% | 76.60% | 79.22% | 93.65% | 90.82% |
アクティブ運用 | 14.79% | 23.40% | 20.78% | 6.35% | 9.18% |
全体としてリスクを抑えたポートフォリオを構築しているといえます。
過去のポートフォリオ
開始当初はより安全と思われる国内債券が多くの割合を占めていましたが、徐々に構成割合が変わってきています。
【第1期中期目標期間】(2006~2009年度)
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | 短期資産 | |
---|---|---|---|---|---|
資産構成割合 | 67% | 11% | 8% | 9% | 5% |
乖離許容幅(各資産) | ±8% | ±6% | ±5% | ±5% | ー |
【第2期中期目標期間】(2010~2014年度)
①2010年4月~2013年6月
上と同じ
②2013年6月~2014年10月
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | 短期資産 | |
---|---|---|---|---|---|
資産構成割合 | 60% | 12% | 11% | 9% | 5% |
乖離許容幅(各資産) | ±8% | ±6% | ±5% | ±5% | ー |
③2014年10月~2015年3月
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | |
---|---|---|---|---|
資産構成割合 | 35% | 25% | 15% | 25% |
乖離許容幅(各資産) | ±10% | ±9% | ±4% | ±8% |
【第3期中期目標期間】(2015~2019年度)
上と同じ
【第4期中期目標期間】(20204月から5か年)
今のポートフォリオ
推移としてはこのような感じです。徐々に国内債券から株式や外国資産の割合を増やしています。リターンを考えれば外国資産の割合が増えて当然なのかもしれません。

GPIFの保有銘柄一覧(2022年)
GPIFの保有銘柄はホームページ上に公開されています。国内株式では2400近い銘柄を保有していることになるようです。株価の状況によるので詳しいことはわかりませんが、数量的にはトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャルグループなどを多く保有しているようです。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「2021年度の運用状況(業務概況書・データ集)」
保有全銘柄(2021年度末)[EXCEL:1.3MB]
オルタナティブ投資やESG投資も
直近ではオルタナティブ投資やESG投資にも積極的のようです。
オルタナティブ資産というのは、不動産やインフラなど株式や債券と異なるリスクやリターンの特性を持つ投資資産です。これらをポートフォリオに組み入れることによって分散投資の効果を狙っています。2022年3月時点では2兆円超がオルタナティブ資産に投資されているそうです。
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「オルタナティブ資産の運用とは」
GPIFはESG投資にかなり力を入れているようです。ESGというのはご存じの通り、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。
長期的な観点で利益を上げようとしているのと同時に、特に国内大企業に対してESGに関する取り組みを促進させる狙いがあるのかもしれません。
ちなみにこれらのESG関連インデックスを採用している投資信託やETFはけっこう簡単に見つかりました。投資してみたいものがあれば利用できそうです。

参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「ESG投資」
GPIFの運用実績
GPIFのこれまでの累積収益額は98兆1,036億円と桁が大きすぎてイメージがつかないレベルです。収益率は3.38%(年率)ですので、これだけの資産額を運用しているのに安定してリターンを出せているのはすごいことではないでしょうか。

2022年度はマイナスが続いていますが、米国があれだけ不調だったので仕方ない部分もあると思います。短期ではマイナスになることは十分あり得ることですので長期的に見守るのが大事だと思います。
GPIFの資料を一度チェックしてみてください
GPIFを調べて感じたのは、
- ポートフォリオの構成は投資初心者の方も参考にしやすい
- 年金は簡単に破綻しないから安心していい
ということです。
話が少しそれますが、年度を総括する「業務概況書」というものを初めて見ました。かなりわかりやすいので、これを見るだけでもGPIFのことがだいたいわかります。前半がGPIFの説明なのでサラッと見るだけでもかなり有益です。
中盤以降はポートフォリオの変更理由などについて記載されているので、どちらかというとこちらのほうがいい研究になりそうです。興味がある方は是非チェックしてみてください。