【銘柄分析】建設技術研究所(9621)2022年以降の株価予想

この記事は2021年第4四半期決算短信までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。

目次

結論

国の施策である国土強靭化5か年計画の2年目であり、中期的にはこれに支えられるはずです。
業績も堅調に推移しており、株価としては4000円程度まで上がる見込みが十分あります。

2022年度業績予想および、2024年中期経営計画を見る限りでは、直近で5000円まで上がると割高感がでてきます。

ただし、決算説明動画や決算短信から、今後配当性向をあげてくる可能性が高いと予想しています。
現時点の株価2245円(2022/2/26時点)でも配当利回り3%弱(配当金は60円/通期)です。
配当性向を30%にあげると配当利回り4%を超えるので、株価の上昇がかなり緩やかだとしても中長期的に保有も視野に考えてもよい銘柄と考えます。

ストーリー

以下のようなストーリーを考えました。

建設技術研究所(9621)は建設コンサルであり、河川や道路に強みを持っている。
現在、国土強靭化5か年計画(2021~2025)の2年目であり、国内建設コンサルティングに関係の深い公共事業費は21年度とほぼ同様の6兆575億円が計上されている。
地域治水や土砂災害対策などの流域・国土事業は堅調に推移すると予想する。

同社の受注の約50%は国からの受注であるが、受注方式としてプロポーザルと総合評価での受注の合計が約65%を占める。これは価格競争ではなく受注できていることを意味するため、今後も収益に良い影響をもたらすと考えられる。
また、1件当たりの平均単価も高く、増加率も他社と比べ高い。こちらも同様に同社にとってプラス。

21年度は海外建設コンサルティングのセグメントが伸びた。これは引き続き新型コロナウイルスの影響が出るだろうと想定していたところ、英国公共部門が牽引したから。
しかし、今後のコロナウイルスの影響が不透明であり、渡航制限などがでてくると中期的には影響が出てくる可能性はある。

2024年の中期経営計画も発表されているが、ここについては若干不満がのこるものであった。
売上では21年度からは約15%増の850億円とかなり慎重な数値をだしている。営業利益に関しては21年度とほぼ同様の68億円で営業利益率に至ってはマイナス1.4%である。
ただ、ここ数期の来期予想を見る限りでは、利益については最終的には期初の計画を超えてくるケースが多い。そうでないのであればすでに何か良くない外部要因でわかっていることがあるかもしれない。
また、事業構造の変化として、民間からの受注割合を増やす計画のようだが具体的な施策不明。

ROE10%をKPIとして掲げている。現時点でも達成しており、ROA、ROEともに上昇傾向にある。21年度には配当を60円/通期としており、研究開発費なども増加している。ROEをさげないように自己資本を大きくしすぎないようにしていると考えられなくもない。
そのため、今後も配当性向は増加する可能性が高い。現在約19%だが、将来的には30%を目安にするとのことだった。

現時点の株価は2245円(2022/2/26現在)で、PERは約7.1倍だが、直近のEPS成長率は20%を超えており、割安と考えられる。中期経営計画では来期以降成長が少ない予想であるが、PER10倍~15倍の範囲でも適正と考えており、4000円を超えることは十分あり得る。
また、現時点で配当利回りが約2.7%である。配当性向が30%になれば、配当は約90円で利回りが4%となるため、現時点の株価で取得して中長期的な保有も視野にできる

企業概要・ビジネスモデル

【決算】12月
【設立】1963.4
【上場】1994.6
【特色】建設コンサル上位。河川、道路に強み。技術士など資格保有者の比率高い。海外や新分野に注力
【連結事業】国内建設コンサルティング75(10)、海外建設コンサルティング25(0)【海外】25 <20・12>
【業種】 建設・土木 時価総額順位 35/121社
【従業員】<21.9>連3,363名 単1,812名(43.3歳)[年]858万円
【配当性向】17.4%(3期平均 17.9%)

建設コンサルタントとは

建設コンサルタントの役割としては、発注者(国や自治体など)の技術パートナーとして企画や調査など幅広い業務を行い、建設業者の施工管理をするそうです。

建設技術研究所HPの企業情報より抜粋 http://www.ctie.co.jp/company/consultant/

建設コンサルタントとしての仕事のフローは以下のような内容ということです。

建設技術研究所HPの企業情報より抜粋 http://www.ctie.co.jp/company/consultant/

主要なセグメント

大きくは以下の4つの事業を行っています。

建設技術研究所HPの企業情報より抜粋 http://www.ctie.co.jp/company/service/

事業に影響しそうな要因

PEST分析やSWOT分析などをイメージした要因を羅列します。

  • 国土強靭化5か年計画の2年目
  • 公共事業費は21年度とほぼ同様の6兆575億円が計上
  • 国からの受注が多い
  • 河川分野での建設コンサル受注実績1位
  • プロポーザルと総合評価での受注割合が多い
  • 1件当たりの平均単価が高い。増加率も高い
  • 技術者も増加傾向
  • 資格保有者の比率が高いなど、技術力が高いらしい
  • 21年度は海外のセグメントが回復した
  • コロナウイルス影響が不透明。渡航制限などがあると影響が大きい
  • 2022年12月期より会計基準変更
  • 新分野への投資や人員増加、賃金増などが課題
  • 2024年中期経営計画策定済み。数値的な成長は大きくない
  • 民間からの受注を増やすように構造変化をしようとしている
  • ROA、ROEは増加傾向
  • 研究開発費を30億まで増やそうとしている(1.6倍)
  • 配当性向もあげていこうとしている(30%)

財務分析

画像はバフェット・コードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/9621/financial

バフェット・コードより9621で検索

売上は増加傾向でROEも増加傾向です。ここにはありませんが、ROAも増加傾向です。
22年度の営業利益が下がっていますが、例年期初の予想は慎重な数字を出しているように見えます。
最終的には今期同等の営業利益を出すのではないかと予想しています。
ただし、22年度より会計基準が変わっており、第1四半期は数字が高めに出るらしいです。
そのため、第2四半期あたりまでは様子を見たほうがよさそうです。

バフェット・コードより9621で検索

EPS、BPSともに21年度までは増加傾向です。
22年度は計画上ですとEPSは横ばいになりそうですが、上記の通り、最終的な利益は様子見です。

配当に関して、21年度は60円に増えています。配当性向は約19%です。
今後配当性向30%を目安にするそうで、(株式発行数がかわらなければ)配当は90円程度まであがり、現在の株価2245円(2022/2/26時点)であれば、配当利回り4%となりますので配当を期待しつつ株価上昇を待っても良いと考えています。

バフェット・コードより9621で検索

大きな問題はないと判断していますが、もう少し投資CFのマイナスが大きくてもいいのかなと思っています。
17年の投資CFが極端に大きいところは子会社の株式取得のためです。

バフェット・コードより9621で検索

ROEは増加傾向ですが、財務レバレッジが増えているわけではありません。
ROE同様にROAも増加しているため、大きな問題ではないと思います。

バフェット・コードより9621で検索

従業員は毎年100人程度増えています。
17年は連結子会社追加の関係で900人程度増加しています。
大きな問題はないと判断しています。

【その他】
21年度決算数値からは ROIC > WACC 、 EVA > 0 であり、事業に問題ないと判断しています。
有利子負債の割合が小さいため、WACCが若干高くなります。
それでもROICは十分それを上回っているので問題ないですが。

有利子負債 2,480,000,000 (6.4%)
株主資本合計 36,484,000,000 (93.6%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計=38,964,000,000

営業利益 6,991,000,000
実行税率 34.3%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100) = 4,593,087,000

ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 11.79%

借りたお金の金利 3%とする。
借りた資金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 1.971%
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=0.74とする。(バフェット・コードの値を採用)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=5.454
WACC =(1.971*0.064)+(5.454*0.936)≒5.231
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC ≒ 2,554,368,840

株価の想定

※これは予想です

株価(2/26) / EPS = PER
2245 / 316 = 7.1 【21.12期実績EPS】

以下は各年度のEPS成長率1年前は昨年からの成長率、3年前は3年間の年平均成長率。
※133.9(18年度のEPS)×1.332(年平均成長率33.2%)×1.332×1.332 ≒ 316(21年度のEPS)

年度EPS1年前2年前3年前
18133.9
19198.648.3%
20258.230.0%38.9%
21316.322.5%26.2%33.2%
EPS成長率


PER = 株価 × 株式数 / 当期純利益
7.1 ≒ 2245 × 14,139,826 / 4,471,000,000 【21.12期実績当期純利益の概算】
9.5 ≒ 3000 × 14,139,826 / 4,471,000,000 
12.7 ≒ 4000 × 14,139,826 / 4,471,000,000

株価 = PER / 株式発行数 × 当期純利益
3162 ≒ 10 / 14,139,826 / 4,471,000,000 【21.12期実績当期純利益の概算】
4743 ≒ 15 / 14,139,826 / 4,471,000,000 
6324 ≒ 20 / 14,139,826 / 4,471,000,000 

現在の株価からはPERは約7.1倍程度である。
直近のEPS成長率からもこのPERは割安と考えられる。
今後いったん成長率が鈍化することを見込んでPER10倍~15倍を適正と考えても、株価は4000円を超えてもおかしくない。

まとめ

建設技術研究所(9621)の予想をしました。

国土強靭化銘柄は中期的には国にも下支えされると考えています。

ありがとうございました。

過去に銘柄分析した企業はこちらです。

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この記事を書いた人

◆ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
大卒から15年以上、東京でシステムエンジニアとして働いたが40歳を前にFPに転身。ライフプランや資産運用に関する無料セミナーや個別相談を通じてお金に不安がある人の悩みを解消中。
得意な分野は資産運用。最近は不動産投資型クラウドファンディングの運用割合を増やし、投資初心者の方にもおすすめの分散投資先として布教中。

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