この記事は2022年3月期第3四半期決算短信までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。
結論
業績は当面堅調に推移するとみているため、22.3月期予想でも株価3000円(PERは約10倍)は固いと予想しています。
PER自体はここ数年を見る限り10倍前後から大きく動きにくいです。
業績の上昇とともに株価も同様に上昇することは十分考えられますが、流動性が高くないため、読みにくいです。
直近未来の1年間程度でいえば4000円程度まで上がったら割高水準と考えても良いかもしれません。
ストーリー
以下のようなストーリーを考えました。
ジーエルサイエンス(7705)は分析装置やその消耗品のメーカーである。
分析機器事業に関しては、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス下でも堅調に推移している。
海外売り上げも同様に好調に推移している。
半導体事業は供給不足があるものの、受注は拡大を続けており、足元では過去最高の水準である。
半導体市場は今後も着実拡大することを予想している。
分析機器事業と半導体事業で同社の約95%を占めており、このセグメントの成長することは同社の成長に直接つながる。
自動認識事業は、おそらく22.3月期に初めて黒字になると思われる。
今後成長していければ同社の業績に寄与することになる。
また、石英部材の中国第3工場が竣工したため、22.3月期第4四半期から生産能力アップの効果が出てくる可能性がある。
現状では業績も堅調であるが、同社のPERは過去数年おおむね10倍前後となっている。
東証2部(今後はスタンダード)に上場しており、流動性も高くない。
今後も同程度のPERである場合、今年の株価は2800~3500円程度になるのではないか。
22.3月期より新中期経営計画になるが、数字以外の詳細の記載がなく具体策が不明。
株主への情報開示などには不満が残る。
企業概要・ビジネスモデル
【決算】3月
【設立】1968.2
【上場】1995.9
【特色】分析装置、消耗品メーカー。自動認識(RFID)育成。上場子会社に半導体関連テクノクオーツ
【連結事業】分析機器52(10)、半導体44(19)、自動認識4(-4)【海外】30 <21・3>
【業種】 電子部品・産業用電子機器 時価総額順位 114/241社
【従業員】<21.9>連‥名 単433名(43.4歳)[年]688万円
【配当性向】18.2%(3期平均 19.2%)
セグメントは以下の3つ。
基本的には分析装置、消耗品の販売、サポート・サービスと考えてよい。
会社四季報によると海外比率30%。

事業に影響しそうな要因
PEST分析やSWOT分析などをイメージした要因を羅列します。
- 分析計の需要は堅調で、今後もなくなることはないはず
- 半導体の供給制約や資源高の影響あり
- 新型コロナウイルスやウクライナ情勢含め、今後の状況は不透明な部分もある
- 半導体事業自体は好調で今後も伸びる想定
- 海外部門が好調
- 石英の中国第3工場稼働で生産性がアップするはず
- 自動認識事業がようやく黒字化しそう
- オンライン商談や在宅勤務などの影響は軽微
- 中期経営計画で、数値以外の具体的施策がわからない
財務分析
画像はバフェット・コードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/7705/financial

売上は増加傾向。営業利益、純利益も同様です。
20年3月期は中国・インドの景気減速やコロナウイルスの影響による増収減益。
翌期回復のため、一時的なものと判断しました。

EPSも増加傾向。20.3月期は上同様。
配当性向は約21%。配当利回り2%弱です。
有価証券報告書の配当政策を見る限り、配当性向をすぐあげることはないとみています。
また、会社の維持・発展のため、一部を社内留保することは極めて重要なことであり、会社の財務内容を充実させることは、最大の社会性を意味すると考えております。
21年3月期有価証券報告書

21年3月期は石英の中国第3工場の設備投資を実施したため、投資CFが大きくなっています。

財務レバレッジと総資産回転率はほぼ変わっていませんが、ROEは増加傾向です。
したがって、売上高利益率が上がっているので、稼ぐ力がついてきていると考えます。

従業員数も増加傾向にあり、特に問題なしと判断しました。
【その他】
21年3月期決算数値からは ROIC > WACC 、 EVA > 0 であり、事業に問題ないと判断しています。
β値を高くとっているので、WACCが高くなっています。(β値=1.4)
有利子負債 4,563,223,000 (16.4%)
株主資本合計 23,218,807,000 (83.6%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計=27,782,030,000
営業利益 3,846,295,000
実行税率 29.2%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100) = 2,723,176,860
ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 9.80%
借りたお金の金利 3%とする。
借りた資金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 2.124%
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=1.4とする。(バフェット・コードの値を採用)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=10.14
WACC =(2.124*0.164)+(10.14*0.836)≒ 8.823
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC ≒ 271,866,974
株価の想定
※これは予想です。
株価(3/05) / EPS = PER
2462 / 220 ≒ 11.19 【21.3期実績EPS】
2462 / 270 ≒ 9.11 【22.3期予想EPS】
年度 | EPS(円) | 1年前 | 2年前 | 3年前 | 4年前 |
---|---|---|---|---|---|
17 | 128.5 | ||||
18 | 170.3 | 32.5% | |||
19 | 195.5 | 14.6% | 23.3% | ||
20 | 159.2 | -18.4% | -3.3% | 7.4% | |
21 | 220 | 38.2% | 6.2% | 8.9% | 14.4% |
22 | 270 | 22.7% | 30.2% | 11.4% | 12.2% |
23 | 300 | 11.1% | 16.8% | 23.5% | 11.3% |
PER = 株価 × 株式数 / 当期純利益
11.2 ≒ 2462 × 10,259,807 / 2,257,216,000 【21.3期実績純利益】
9.1 ≒ 2462 × 10,259,807 / 2,770,000,000 【22.3期予想純利益】
11.1 ≒ 3000 × 10,259,807 / 2,770,000,000
14.8 ≒ 4000 × 10,259,807 / 2,770,000,000
株価 = PER / 株式発行数 × 当期純利益
2700 ≒ 10 / 10,259,807 × 2,770,000,000 【22.3期予想純利益】
4050 ≒ 15 / 10,259,807 × 2,770,000,000
3021 ≒ 10 / 10,259,807 × 3,100,000,000 【23.3期予想純利益】
3928 ≒ 13 / 10,259,807 × 3,100,000,000
4532 ≒ 15 / 10,259,807 × 3,100,000,000
現在の株価2462円(22年3月5日時点)は22.3月期予想EPSの270円だとPERは9.1倍。
現状の外部環境からは業績拡大を予想を予想しており、EPS10%の成長は可能とみる。
23.3期予想当期純利益から算出する株価では、PERが10倍で約3000円。
PER13倍までいけば約4000円となる。
同社の過去5年程度のPERは約10倍前後のため、大幅に上がることは難しそうだ。
しかし、2020年は4月から10月までの半年程度で株価が3倍近くになっている。
カタリストがあれば、最終的には10倍程度だとしても期中にPERが上がる可能性はある。
まとめ
ジーエルサイエンス(7705)の予想をしました。
ここ数年のPERを見ると、急激に株価が上がる可能性は低そうな気がします。
ただし、市場の拡大とともに業績も堅調に推移すると予想されるので、株価も徐々に上がってくる考えています。
ありがとうございました。
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