この記事は2022年第3四半期までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。
結論
直近の業績は堅調であり、少なくとも数年間は続くと予想しました。
株価もそれに伴い上昇するとみています。
1~2年で4000円まで上がること十分考えられます。
現時点では5000円台までくると割高感があります。
ストーリー
以下のようなストーリーを考えました
日本電子材料(6855)の主要である製品のプローブカードは半導体に欠かせない商品であり、日本電子材料はプローブカードの大手である。
富士キメラ総研によれば、世界の半導体市場は今後数年堅調な伸びをすると予想されている。
中でもメモリー市場は高成長すると予想されており、NANDフラッシュ市場は2026年には2020年比で2.6倍の約13兆円に達すると予測されている。
21年度は半導体不足や新型コロナウイルスの影響があったにもかかわらず、メモリーIC向けなどは堅調に推移しており、今後の半導体市場の拡大は同社の業績にも大きく寄与するものと考えられる。
一方で、直近の半導体市場は供給不足問題 サプライチェーンの混乱、需要の端境期も重なり、不透明感が増している。
また、ウクライナ情勢の悪化が影響する可能性があるのではないかという懸念がある。
テックセットの推計によると、米国の半導体製造に使われているネオンの90%以上がウクライナ産、パラジウムの35%がロシア産らしい。米国半導体市場の影響から飛び火するかもしれない。
※実際には日本への影響は不明。
とはいえ、直近の同社の業績は売上・利益ともに堅調に推移しており、ROEも急速に改善している。
同社の事業報告書の中でも連結経常利益率およびROEはともに10%以上と明確なKPIが示されており、今後もそれを意識した経営がされると予想される。
ここ数年ではEPS成長率は50%を超えることが多く、上記のような懸念から23年3月期のEPS成長率が落ちたとしても現在のPER8倍以下(2022年2月17日時点)は十分割安だと考える。
※22年3月期の最終決算は不明だが、第3四半期までの結果から大きな下方修正はない予想。
現在の株価は約2100円(2022年2月17日時点)だが、22年3月期予想の業績で、EPS成長率からPER15倍でも割高感がないと考えれば4000円は十分ありうる。
※ただし、同業他社のPERも低水準であるため、大きく強気にはなれない。
同社の取り組みとして、今後の成長を見越して設備投資を推進するなど準備態勢は整っている。
しかし、ここ数年従業員数はほぼ横ばい(約1000名)であるため、今後の成長には従業員数も増加傾向になってほしいと考えている。
同社は東証の新市場で「プライム」と「スタンダード」に適合しているが、「スタンダード」を選択するようで、堅実な社風なのかもしれない。
企業概要・ビジネスモデル
【決算】3月
【設立】1960.4
【上場】1998.8
【特色】半導体検査用プローブカード大手。ブラウン管カソードなどから出発。海外生産比率向上に注力
【連結事業】半導体検査用部品関連99(20)、電子管部品関連1(3)【海外】41 <21・3>
【業種】 電子デバイス製造装置 時価総額順位 27/56社
【従業員】<21.3>連984名 単647名(39.6歳)[年]452万円
ビジネスモデルの詳しい図はありませんでしたが、日本電子材料株式会社(当記事の会社)と子会社9社により構成されており、半導体検査用部品、電子管部品の開発、製造及び販売を主とした事業活動です。
ただし、売上・利益の割合的にはほぼ半導体検査用部品(プローブカード)が占めており(約99%)、ほぼ単一セグメントと考えて問題ないのではないでしょうか。
事業に影響しそうな要因
PEST分析やSWOT分析などをイメージした要因を羅列します。
- 世界の半導体市場は今後数年堅調に進むとみられる。
- 富士キメラ総研によると2026年の半導体市場規模は2020年比65.7%増の50兆5296億円と予測。
- 今後はメモリ市場が高成長する予想で、NANDフラッシュ市場が2026年に同2.4倍の13兆円に達すると予測。
- 直近では半導体の供給不足、サプライチェーンの混乱、需要の端境期も重なり、不透明感が増しているらしい。
- ウクライナ情勢の悪化により米国半導体市場に影響があるかもしれない
- 米国の半導体製造に使われているネオンの90%以上がウクライナ産、パラジウムの35%がロシア産らしい。
- 売上・利益ともに増加傾向。
- ROEも急速に改善している。財務レバレッジは1.6~1.7程度を維持している。
- キャッシュフローは+ー+の時が多いが、FCFがマイナスになっているときがある。(現金同等物は十分なので先行投資とみる)
- 21年度下期は設備投資のを推進したらしい(熊本事業所や三田工場)
- 社員数がほとんど増加していない
- 東証の新市場区分では「プライム市場」「スタンダード市場」に適合しているが、「スタンダード市場」を選択する
財務分析
画像はバフェット・コードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/6855/financial

直近では売上、利益ともに増加傾向です。
利益率、ROEも右肩上がりとなっています。

EPSも直近では増加傾向にあり、21.3期は約190円、22.3期予想は280円程度ではないでしょうか。
22.3期配当は20円を予定しており、配当性向は約10%、配当利回り約1%弱なので配当を期待する企業ではありません。

少し判断に迷う部分です。
直近のキャッシュフローは営業CF:投資CF:財務CF=+:ー:+となっていることが多いですが、投資CFのマイナスが大きくフリーCFがマイナスになっているときもあります。
しかし、現金同等物もあり、同社のそのほかの状況からみても、財務的に不安というより将来に向けての積極的に投資していると判断しています。

上述の通り、ここ数期で従業員数は横ばいです。
売上、利益は増加傾向にあるので、一人当たりの利益は増加しています。
ただ人が増えればよいものではありませんが、効率化には限界があるため、従業員数も増加していくことが望ましいです。
【その他】
20年度決算数値からは ROIC > WACC 、 EVA > 0 であり、事業に問題ないと判断しています。
有利子負債 6,457,000,000 (29.3%)
株主資本合計 15,577,000,000 (70.7%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計=22,034,000,000
営業利益 2,663,000,000
実行税率 20.9%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100) = 2,106,433,000
ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 9.56%
借りたお金の金利 3%とする。
借りた資金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 2.373%
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=1.04とする。(バフェット・コードの値を採用)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=7.584
WACC =(2.373*0.293)+(7.584*0.707)≒6.06
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC ≒ 771,848,710
株価の想定
※これは予想です。
株価(2/17) / EPS = PER
2090 / 190 = 11 【21.3期実績EPS】
2090 / 280 ≒ 7.5 【22.3期予想EPS】
EPSの成長率をどこでとるかが難しいが、この期間であればどこをとっても30%以上となっている。
※下表の1年前は直近1年での成長率、3年前は3年間での年間平均成長率。
年度 | EPS(円) | 1年前 | 2年前 | 3年前 | 4年前 | 5年前 |
---|---|---|---|---|---|---|
17 | 7.5 | ー | ー | ー | ー | ー |
18 | 29 | 286.7% | ー | ー | ー | ー |
19 | 76.5 | 163.8% | 219.4% | ー | ー | ー |
20 | 101.6 | 32.8% | 87.2% | 138.4% | ー | ー |
21 | 190 | 87.0% | 57.6% | 87.1% | 124.3% | |
22 | 286.1 | 50.6% | 67.8% | 55.2% | 77.2% | 107.2% |
PER = 株価 × 株式数 / 当期純利益
12.4 ≒ 2090 × 12100300 / 2037000000 【21.3期実績純利益】
7.3 ≒ 2090 × 12100300 / 3450000000 【22.3期予想純利益】
12.4 ≒ 3550 × 12100300 / 3450000000
株価 = PER / 株式発行数 × 当期純利益
2109 ≒ 7.4 / 12100300 × 3450000000 【22.3期予想純利益】
2851 ≒ 10 / 12100300 × 3450000000
4277 ≒ 15 / 12100300 × 3450000000
5702 ≒ 20 / 12100300 × 3450000000
現在株価は約2090円(2022年2月17日現在)で、21.3期実績純利益から計算すると約12倍、22.3期予測EPSから計算すれば7.3倍程度となる。
※端数をけずったりしているので、上のEPS計算と少しずれているので注意。
ここ数期のEPSの成長率は30%を大きく上回っているが、同業他社もそれほど高いPERを示していなかったため、PEGレシオ=1を基準としてもPER15倍は許容範囲内と判断する。
※同業他社:例として日本マイクロニクス(6871)のPERは約10倍
そうした場合、22.3期の予想当期純利益でPER15倍でも4300円程度の株価まで上がってもおかしくない。PER20倍まであがれば5700円程度を見込める。
ただし、上記の通り同業他社の状況を考えるとPER20倍まで強気になるのは危険。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
日本電子材料(6855)の予想をしました。
半導体市場は現状は厳しいですが、長期的に見れば有望なテーマであると考えています。
検討してみてはどうでしょうか。
ありがとうございました。
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