こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
中外製薬は特にがん領域強みをもっている製薬会社です。現在は医療用医薬品を専門に扱っているため、一般の人にはそれほど認知度は高くないかもしれません。
来期は減収減益の見込みなので株価が上昇しにくい状況になっていますが、収益性が非常に高いという特徴を持ち、今後の成長に期待したい銘柄の1つです。

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中外製薬(4519)とは?
名称 | 中外製薬(4519) |
企業URL | https://www.chugai-pharm.co.jp/index.html |
決算月 | 12月 |
上場 | 1956.3 |
特色 | ロシュ傘下で成長続ける異色の医薬品大手。 抗体・バイオで先行、抗がん剤、骨・関節領域に強い |
連結事業 | 国内製商品(オンコロジー)20、同(スペシャリティ)32、海外製商品31、ロイヤルティ他18 |
株主優待 | 株主優待はありません |
中外製薬は特にがん領域や抗体医薬品に強みを持っている製薬会社で、この領域で国内No1のシェアを持っています。また、スイスのロシュ社とのつながりが強いことも特徴で、面白い形態の経営をしています。

中外製薬の主力商品は「ヘムライブラ」
コロナ関連(COVID-19)特需であったロナプリーブなどを除くと、今後数年はヘムライブラとアレセンサが主力商品となります。これらの次にエンスプリングなどが続きそうですが、次世代製品でヘムライブラ級の商品がもう1本はほしいところです。

株価推移
中外製薬(4519)の株価はおよそ10年前の2014年頃から急激に上昇し始めました。2020年以降、一転して株価が下落傾向にありますが、今後再度上昇トレンドになるのかが注目されています。

中外製薬は、製薬業界の同業他社である武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)、エーザイ(4523)と比較して、過去10年間のリターンが優れています。下記のチャートは過去10年間の株価の推移を示しており、中外製薬の株価伸びが特に顕著です。

中外製薬とロシュの関係
中外製薬は2002年からスイスのロシュと戦略的アライアンスを開始しており、一応外資系企業ということになります。ロシュ社の保有株式は59.89%となっており過半数を超えていますが、子会社ということではなく、中外製薬の上場維持や経営の独立性を維持するといったことで合意をしているそうです。
詳細を知りたい方はこちらの中外製薬の経営戦略をご覧ください。
ロシュ社との戦略的提携


これは中外製薬側のメリットが非常に大きく、事実として提携前後で売上や利益が大きく上昇しています。

中外製薬の年収はおよそ1,200万円
中外製薬は年収が高いことでも有名です。他の製薬会社の年収よりもやや高くなっています。
企業 | 平均年収 | 平均勤続年数 |
---|---|---|
中外製薬(4519) | 1,214万円 | 17年 |
エーザイ(4523) | 1,050万円 | 17年 |
武田薬品工業(4502) | 1,097万円 | 14年 |
アステラス製薬(4503) | 1,061万円 | 16年 |
第一三共(4568) | 1,119万円 | 20年 |
協和キリン(4151) | 902万円 | 16年 |
中外製薬の株価がなぜ上がらないのか?
上がらないというよりも2020年に大きく下落し、その後いったん株価は戻りましたが2021年からは再度株価が大きく下落しています。おそらく要因は1つだけではありません。
まず、2020年に関しては、2020年7月に中外製薬は株式分割(1株→3株)を行っています。これは株価が動いた要因になっているかもしれません。
2021年に関しては、単純に利益確定売りの側面もあったと思います。2021年1月時点では3Qまでの決算発表がされていましたが、この時点で大幅な増収増益(当期純利益は前期比約30%増の2000億円程度)が見込まれていました。この時点で株価は6000円以上にまで上昇し、PERは現在の倍の40倍まで上がっています。テクニカル的にも売りという判断が入ったかもしれません。

また、2021年2月4日に発表された成長戦略(中期経営計画?)がイケてないというのも株価下落を後押ししたかもしれません。この次に説明しますが、まぁよくわからないものです。
2023年7月現在は来期の見通しと1Q実績がよくないために株価は上がりにくい状態になっていると思います。個人的にはこれまで株価が下がり続けているおかげで、割安水準とみていますが、カタリストがないと大きな上昇しにくい状況と言えるかもしれません。

成長戦略(中期経営計画)
中外製薬では2030年に向けた新成長戦略として「TOP I 2030」というものが策定されています。
多分言っていることは正しいのでしょうが、KPI的な数値目標がほとんどなく、どうやって中間進捗を測定するのかも謎です。この辺りが投資家の嫌気を誘ったかのかもしれません。
同日発表されている決算説明資料では、来期(2021年)は増収増益の見込みでヘムライブラなど含めて明るい見通しだったにもかかわらずこれ以降株価は下落を続けています。

中外製薬の配当
中外製薬の配当について紹介します。
中外製薬の2023年権利確定日はいつ?
中外製薬は中間配当と期末配当の2回を予定しています。2023年12月期に関しては、中間40円、期末40円で通期80円の見込みです。12月決算ですので、2023年6月と12月が権利確定日となります。具体的な日付は以下の通りです。
日付 | 権利付き最終日 | 権利落ち日 | 権利確定日 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2023年6月 | 6/28(水) | 6/29(木) | 6/30(金) | 40円(済み) |
2023年12月 | 12/27(水) | 12/28(木) | 12/29(金) | 40円(予定) |
中外製薬の配当利回り推移
2023年7月26日時点の配当利回りはおよそ2.0%ですが、株価動いているので配当利回りも変化します。過去3年間のレンジはおよそ1.0%~2.5%程度ですが、現在の株価が割安水準とすれば、それほど配当利回りはこれ以上は上がりにくいと考えられます。

中外製薬のIR情報 決算数値分析
画像はバフェット・コードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/4519/financial


売上の推移
18.12期頃から急激に売上が上昇しており、22.12に売上高は1兆円を超え、約1兆2600億円となっています。23.12期は減収減益を予定しており、売上は1兆700億円となる見通しです。
22.12期決算資料によれば、減収減益の要因はCOVID-19関連(コロナ関連)の売り上げ減少によるものとしており、どちらかといえば、直近の数年が特需であったと考えたほうが良いのかもしれません。このCOVID-19関連を除けば増収という予想をしているようです。

利益の推移
利益に関しても、概ね売上と同様です。この数年右肩上がりで上昇していますが、23.12期はCore営業利益4150億円と前期比▲8.1%を見込んでいます。ただし、営業利益率自体はほとんど変わらず、30%台後半という高い利益率を予定しています。

配当の推移
配当は今後が予想しにくい部分もあります。決算説明資料では株主還元に関して以下のような記載があります。
戦略的な投資資金需要の変化や業績見通しを勘案した上で、株主の皆様へ安定的な配当を継続的に行うことを目標とし、配当性向としてはCore EPS対比平均して45%を目処とする
2022年12月期決算説明会 株主還元
配当性向を一定にするパターンなので、業績によって配当が変わることを意味します。この数年は非常に業績が良かったため配当が増えていますが、仮に業績が落ち着いてきた場合、配当金が下がる可能性もあるということです。連続増配企業のようなケースとは違うということは認識しておいたほうがよさそうです。

キャッシュフローの推移
キャッシュフローに関しては、問題ないと認識しています。営業CFが大きく、全体としてフリーCFがプラスの位置にあります。投資CFに関しては、約1500億円のうち、600億円程度が有形固定資産の取得に使われていました。割合的には有価証券の取得などの金額のほうが多かったです。財務CFに関しては、配当の支払いが多くの割合を占めています。
つまり、3つのCFの割合は大きく変わらないと考えられるので、キャッシュの流れが急に悪くなるという可能性はほとんどなさそうです。

ROE分解式
ROEを含む収益性は非常に高く、何も問題はなさそうです。この次に他社との比較も行いますが、なぜ中外製薬だけこれだけの数値が出せるのかが疑問なくらいです…


その他分析①(ROIC、WACC、EVA)
22年12月決算数値では ROIC>WACC、EVA>0 となっています。この年の数値は非常に良いものです。
有利子負債 0 (0%)
株主資本合計 1,424,387,000,000 (100%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計 = 1,424,387,000,000
営業利益 533,309,000,000
実行税率 29.5%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100)= 375,982,845,000
ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 26.40%
借りたお金の金利 3%とする。
借りたお金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 2.115%
■借りた金コスト= 有利子負債比率×借りたお金の資本コスト=0%×2.115=0
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=0.9とする。(バフェット・コードの値を採用)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=6.59
■株主資本コスト=株主資本比率×CAPM=100%×6.59=6.59
WACC =借りた金コスト+株主資本コスト≒6.59
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC/100 ≒ 282,115,741,700
その他分析②(EPS成長率や類似企業から判断する株価予想)
以下の表は過去5年間(24.3期は予想)のEPS成長率を示しています。単年ではばらつきがありますが、3年間、4年間で見ると年平均は30%~40%程度となっています。PEGレシオを利用するのであればPER30倍でも妥当といえます。
ただし、今後ここまでの成長が継続できるのかが焦点となりそうです。2022年12月期の決算単信ではCoreEPSは前年比▲3.7%となっており、久々の減収減益となる見込みです。
年度 | EPS(円) | 1年前 | 2年前 | 3年前 | 4年前 |
---|---|---|---|---|---|
18 | 56.36 | | | | |
19 | 95.95 | 70.2% | | | |
20 | 130.66 | 36.2% | 52.3% | | |
21 | 184.29 | 41.0% | 38.6% | 48.4% | |
22 | 227.64 | 23.5% | 32.0% | 33.4% | 41.8% |
仮に23.12期の業績が減収減益で当期純利益が▲4.0%としても、仮にPER30倍を妥当とみれば、株価は6565まで上昇してもよさそうです。
株価 = PER / 株式数 × 当期純利益
4552 ≒ 20 / 1,645,020,569 / 374,429,000,000【22.12期実績純利益】
4377 ≒ 20 / 1,645,020,569 / 360,000,000,000【利益▲4.0%想定】
5471 ≒ 25 / 1,645,020,569 / 360,000,000,000
6565 ≒ 30 / 1,645,020,569 / 360,000,000,000
個人的には現在のPERは少々割安だと感じます。製薬業界の同業他社はPERの幅がかなり広いのでなんともいえませんが、中外製薬の現在が約20倍程度(PER(会)はN/Aとなっていますが)だと考えると、収益性などの指標からはもう少し評価されてもよいのではと。

中外製薬の株価見通し
松井証券のマーケットラボによる目標株価は以下のようになっています。
あくまでも予想ですが、23.12期1Qの決算が悪いので、個人投資家は売り判断となっているのかもしれません。

23.12期の1Qの数字は前期比で見ると悪いものでした。ただし、今期が悪いのではなく前期までが良すぎたと思ったほうが良いと考えています。ヘムライブラなどに大きな見通しの変更がなければそれほど心配しなくてもよいのではないかと思います。

銘柄スコアで特筆すべきなのは、やはり収益性の高さだと思います。財務健全性の評価がそれほど高くないように見えますが、あまり問題になりません。もう少しキャッシュがあってもいいかなという気もしますが、キャッシュフロー自体は健全だと思います。23.12期の業績予想は、前期比の観点でいえば正直あまり期待できません。

ここでは松井証券のマーケットラボの株価予想と銘柄スコアを紹介しました。マーケットラボは株価予想の参考にするのにかなりおすすめです。
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チャートからみる今後の株価
私はテクニカルは正直苦手で詳しくないからですが、、短期的にはどう動くのか読みにくいです。下のチャートは年初来からの株価と一目均衡表で、下にMACDとストキャスティクスをつけています。
直近の決算でどのよような動きを見せるのか注目しています。ある程度数字が悪いことは織り込み済みだと思うので。

過去5年間の範囲で中長期的にみると、20年~21年頃からうにゃうにゃしていた動きがそろそろ上昇トレンドに反転しそうだよねというイメージに見えます。とはいえ、製薬業界だとやはりテクニカルやファンダメンタルズだけでなく、今後有望な新薬やカタリストとなるニュースが欲しいところなので、さらに1本有力な商品が出てくればうれしいなというところでしょうか。

まとめ:来期見通しは悪いが、PERは割安水準?
個人的にはこの収益性の高さはかなり期待が高いと考えています。23.12期の業績はあまりよくありませんが、個人的にはPERは割安と判断して購入したい銘柄の1つです。

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