この記事は2022年10月期第1四半期決算短信までの情報をもとに作成しています。
この記事は投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありません。
また、結果を保証するものでもありません。
結論
今後数年は売上、利益、EPSともに増加が見込めます。
現在の株価は1047円(2022年4月3日現在)ですが、PER10倍程度を妥当とみれば、1300~1400円程度まで上昇する可能性は十分あると予想しています。
同社は2030年に売上高6000億円を掲げていますが、投資用マンションという意味ではそこまでの市場があるのか疑問があるため、長期的な投資をするのであれば注視する必要があると考えます。
ストーリー
グッドコムアセット(3475)は東京23区の投資用マンションを同社の独自仕様に仕上げた上で1棟単位で仕入れ、個人または法人に対して販売している投資用不動産会社である。
グッドコムアセットはデザインおよび緑化、顧客は女性公務員主体、仕入方法では専有物件を主体としていることに特徴がある。
同社のターゲット顧客である女性公務員は民間労働者に比べ平均賃金が高く、離職率も低い。
2035年までは東京23区の単身者人口は増加する見込みもプラス材料である。
法人向けホールセールも27物件1001戸の約270億円の売上が2022年第2四半期に計上される。
ホールセールは販管費がリテールセールよりも少なく効率的な経営が可能である。
2022年第1四半期の決算発表では、今後も1棟販売は増やしていくということだった
ただし、直近では地価や建築費が増加しており、同社にとってはマイナス要素である。
また、2030年に売上6000億円、営業利益600億円を掲げているが、現実可能か不透明である。
2035年まで東京23区の単身者は増加見込みであるが、増加率は10~20%程度であり、同社のセグメントが投資用に偏るのであれば、売上が10倍になるほどの市場があるか疑問である。
現在は財務上の数値は問題ない。
EPS成長率も今後数年は10~20%程度は見込める。
PEGレシオ=1を基準にすれば、現在のPER約8倍は割安にも感じる。
ただし、ほかの同業企業のPERもグッドコムアセットと同様かそれ以下の水準であるため、過度な期待をするのは危険だと判断する。
PER10倍程度まで上がると予想すれば、株価は1300円~1400円程度までは想定範囲内。
企業概要・ビジネスモデル
【決算】10月
【設立】2006.5
【上場】2016.12
【特色】東京23区で投資用ワンルームマンション、家族向けも。
女性公務員に顧客基盤。全国展開へ舵
【連結事業】ホールセール77(12)、リテールセールス19(-2)、リアルエステートマネジメント4(33)、
Good Com Fund-(-) <21・10>
【業種】 不動産(住宅) 時価総額順位 31/101社
【従業員】<21.10>連149名 単102名(29.7歳)[年]522万円
グッドコムアセット(3475)は、東京23区の投資用マンションを同社の独自仕様に仕上げた上で1棟単位で仕入れ、個人または法人に対して1戸もしくは1棟単位で販売している独立系の投資用不動産会社です。
リテールセール
リテールセールスセグメントでは、個人投資家向けに投資マンションを販売しています。
個人投資家の属性は年収5百万円から9百万円、30代から40代、関東および中部地方在住の女性公務員が中心です。
リテールセールスの売上高は販売単価×戸数によって決まります。
2019年10月期以降は、自社販売において1Kよりも1LDKと2LDKの販売を優先する方針へ変更したことで、販売単価が上昇傾向で推移しています。
リテールセールスは売上総利益率および販管費率が高い収益構造となっています。
リテールセールスの販売単価はホールセールより高く、売上原価に大きな違いはないため、売上総利益率は高いです。
一方、自社の営業体制、広告宣伝費を要するため、ホールセールと比較して販管費率が高い構造となっています。
ホールセール
法人への販売はホールセールのセグメントとなります。
リテールセールスと同様に、ホールセールの売上高も販売単価×販売戸数で決まります。
2021年10月期における販売単価の下落は、規模が小さめの物件や単価が比較的低いエリアの物件の販売比率が上昇したことが要因でした。
販売戸数は不動産を運用する会社の物件取得意欲が強く、堅調に推移しています。
ホールセールは相対的に売上総利益率および販管費率が低い収益構造となっています。
ホールセールの販売単価はリテールセールスより低く、売上原価に大きな違いはないため、売上総利益率は低いです。
一方で個人向けのような人手が掛かる営業体制や広告宣伝費を必要とせず、従業員1人当たりの販売戸数が多いため、販管費率が低い構造となっています。
リアルエステートマネジメント
リアルエステートマネジメントは、企業の社宅として1棟を賃貸し、販売前物件の賃料収入を得る他、販売後の物件に対する賃貸管理および建物管理手数料を得ています。
売上高の大半を占める賃料収入は、販売用不動産、入居率、1戸当たりの賃料によって決まります。
1戸当たりの賃料を開示していないが、表面利回りは4.2%程度となっています
2019年10月期以降は営業利益率が低下傾向となっています。
事業に影響しそうな要因
PEST分析やSWOT分析などをイメージした要因を羅列します。
- 2022年10月期第2四半期に大型の売上が計上される。17物件1001戸の約270億円が計上予定。
- リーマンショック時に経営に窮した建築会社からマンションを仕入れたことから、当初支払額が少なく、支払期間を短縮したマンション仕入方法(専有物件)が可能である。
- 2021年10月期において、同社のたな卸資産回転率は2.0回と業界最大手のエフ・ジェー・ネクスト社(8035)の1.1回(2021年3月期)を上回っている。
- 一定以上の規模の投資用不動産会社は全国で5社しかない。
- 期中の販売状況が同社の想定を上回って推移すると、翌期に販売在庫が不足し業績変動要因となりうる。
- 東京23区の単身者世帯数は2035年まで増加する見込み。
- 2022年以降に生産緑地の売却が進む見込み。
- 地価、建築コストが上昇傾向にある。
- グッドコムアセットのターゲット顧客である公務員の平均年収は民間企業労働者の平均を上回っており、離職率は大きく下回っている。
財務分析
画像はバフェットコードの情報を使用しています。
https://www.buffett-code.com/company/3475/financial

売上は右肩上がりとなっています。
22年10月期第1四半期は営業利益がマイナスでしたが、第2四半期に270億円の売上が計上されます。
利益率はほぼ横ばいといったところです。
しばらく様子見したいところです。

EPSもおおむね右肩上がりとなっています。
配当性向は約30%超で、配当利回りが4.5%とかなり高くなっています。

ここは同社の売上構造が影響しています。
棚卸資産が増加、つまりマンションの在庫が増えると営業キャッシュフローが減少します。
現金同等物はは約80億ありますが、20年10月期には営業キャッシュフローはマイナス60億程度になっており、十分な余裕があるかというと判断に迷う部分です。
その分は財務キャッシュフローで補ったり、自己資本比率を下げることで対応すると思われます。
中期的には自己資本比率を30%まで下げる計画のようなので、そこまでは許容範囲。

ROEは比較的高い値を示していますが、現状はほぼ横ばいになっています。
財務レバレッジは減少傾向ですが、年によってかなり違いが出ています。
限界利益率は高いわけではないため、ある程度の売上が必要となります。

2022年の新入社員は約50名です。
社員数も増加傾向にあります。
【その他】
20年度決算数値からは ROIC > WACC 、 EVA > 0 であり、事業に問題ないと判断しています。
有利子負債 8,994,704,000(49.4%)
株主資本合計 9,206,796,000(50.6%)
投下資本 = 有利子負債+株主資本合計=18,201,500,000
営業利益 3,437,125,000
実行税率 34.2%
NOPAT = 営業利益 × (1-実行税率/100) = 2,261,628,250
ROIC = NOPAT / 投下資本 ≒ 12.43%
借りたお金の金利 3%とする。
借りた資金の資本コスト = 金利 × (1-実効税率)≒ 1.974%
Rf(10年物国債利回り)= 0.2% とする。
Rm(市場の長期平均リターン)= 7.3% とする。
マーケットリスクプレミアム(RmーRf)≒7.1%
β=1.00とする。(上場期間が短いため仮の値)
CAPM = Rf + β(RmーRf)=9.288
WACC =(2.373*0.293)+(7.584*0.707)≒5.67
EVA = NOPAT ー 投下資本 × WACC ≒ 1,228,945,581
株価の想定
※これは予想です。
株価(2022/4/3) / EPS = PER
1047 / 135.03 ≒ 7.75
1047 / 163.08 ≒ 6.42
年度 | EPS(円) | 1年前 | 2年前 | 3年前 | 4年前 |
---|---|---|---|---|---|
18 | 80 | ||||
19 | 78.5 | -1.9% | |||
20 | 124.5 | 58.6% | 24.7% | ||
21 | 135.03 | 8.5% | 31.2% | 19.1% | |
22(予) | 163.08 | 20.8% | 14.4% | 27.6% | 19.5% |
23(予) | 195.1 | 19.6% | 20.2% | 16.2% | 25.6% |
PER = 株価 × 発行株式数 / 当期純利益
8.15 ≒ 1100 × 14,530,328 / 1,962,000,000 【21.10期実績純利益】
11.11 ≒ 1500 × 14,530,328 / 1,962,000,000
14.81 ≒ 2000 × 14,530,328 / 1,962,000,000
12.44 ≒ 2000 × 14,530,328 / 2,337,000,000 【22.10期実績純利益】
株価 = PER / 株式発行数 × 当期純利益
1369 ≒ 10 / 14,530,328 / 1,962,000,000 【21.10期実績純利益】
1642 ≒ 12 / 14,530,328 / 1,962,000,000
1630 ≒ 10 / 14,530,328 / 2,337,000,000 【22.10期実績純利益】
1956 ≒ 12 / 14,530,328 / 2,337,000,000
現在の株価1047円(22年4月3日時点)は、21.10期実績EPSの135円だとPERは約7.75倍。
中期経営計画はありませんが、2030年売上6000億円を掲げています。
直近5年程度のEPS成長率でPEGレシオ=1を基準にすれば、現在のPERは割安にも感じます。
ただし、類似企業のPERも同程度となっているため、過度の期待は危険かもしれません。
PER10倍程度まで上昇可能だと考えれば、1300~1400円程度までは十分考えられます。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
売上、利益のわりにPERは低めであると考えています。
中期的に成長は続きそうであるため、株価も上昇すると見ます。
ただし、投資用マンションを主としている企業は全体的にPERは低めです。
長期的な観点では、投資用マンションという市場に疑問が残るため注意は必要だと考えます。
ありがとうございました。
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