こんにちは、みたお(@mitao_kabu99)です。
出来高上位銘柄にどんなものがあるのかはよく見るのですが、時々上位に躍り出てくるガスETF(1689)が気になったのでどんなETFなのかを簡単に調べてみました。
- ガスETF(1869)がどんなETFなのかがだいたいわかる
- なぜ売れない(買えない)のかがわかる
- 先物ETFが長期投資に向いていないことがわかる
結論としてわかったのは、商品特性を理解してもかなり難しいので初心者は手を出さないほうがいいということです。
この銘柄の出来高が大きいのは、投資商品として優れているというよりもアジア開発キャピタルと同じパターンで、下げて買って上がって売ればもうかると考える人が多いからだと思います。

実際にはそれすら簡単ではなさそうなので注意してください。。
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Wisdom Tree 天然ガス上場投資信託(1689)とは?
Wisdom Tree 天然ガス上場投資信託(1689)の基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
銘柄コード | 1689 |
銘柄名 | Wisdom Tree 天然ガス上場投資信託 |
運用会社 | ウィズダムツリー |
株価 | 1.2 |
信託報酬 | 0.49% |
対象指標 | Bloomberg Natural Gas Subindex |
JPX日本取引所グループ:【1689】ガスETF(Wisdom Tree 天然ガス上場投資信託)
「Bloomberg Natural Gas Subindex」というのは、天然ガスメインのインデックスで先物取引を利用しています。このインデックスが何者のか「ETF.com」というサイトを見ると、このインデックスに連動しているETF(ETN)の1つに「GAZ」というのがあるのがわかります。

このサイトのさらに下のほうを見ると、GAZの契約はヘンリーハブ天然ガスが含まれているということが書いてありました。
The contract included is the Henry Hub Natural Gas traded on NYMEX.
ETF.com(GAZの詳細)(上のサイトと同じ)
このあたりは、WTI原油先物(Light, Sweet Crude Oil Futures)とそれに紐づく商品(例えば、WTI原油価格連動型上場投信【1671】など)の関係に近いと思います。
Henry hub(ヘンリーハブ)天然ガス先物価格との関係
Henry hub(ヘンリーハブ)は、アメリカルイジアナ州にある天然ガスの集積地名です。もともとはパイプラインの接続地点としてそう呼ばれていたそうです。(ハブ空港のハブと同じ意味だと思います)
ここで売買される天然ガスの価格が先物取引価格のNYMEX(New York Mercantile Exchange)の先物価格の指標値(基準値)となっています。
Henry hub(ヘンリーハブ)天然ガス先物価格と、ガスETFの関係を見てみます。正直これは、チャートを取る期間によって見え方がかなり変わるという点は認識しておいてください。
まず、比較的長い期間で見てみます。GAZが2017年あたりからしか表示されなかったのでそこからです。ちなみにガス先物価格はtradingviewのNG1というシンボルを使っています。これをみると、ウィズダムツリーのガスETF(1689)(赤線)やGAZ(オレンジ戦)に比べて、ヘンリーハブガス先物価格(青線)の値動きがかなり大きいことがわかります。

あとで簡単に解説しますが、商品先物価格とETF(などの金融商品)の価格が必ずしも一致しないために起こっていると考えられます。ただし、直近1年でみれば大きな違いがみられない(むしろ1689(赤線)のほうが変動が大きい)ため、対象とする期間で見え方が大きく変わる点は注意が必要です。

天然ガスETF(1689)の株価推移 2021年に呼値変更
ところで、上の株価推移で2017年からの比較だと赤いラインが滑らかでないことに気が付いたでしょうか。2021年11月29日からETFの呼値の取り扱いが変更になり、Wisdom Tree 天然ガス上場投資信託(1689)は0.1円単位での売買に変更となりました。
JPX日本取引所グループ:ETF及びETN等の呼値の単位の適正化に係る運用等の取扱いについて(2021/09/13)
具体的にはETFはTOPIX100構成銘柄に適用される呼値の単位を適用することになります。TOPIX100は呼値テーブルは以下のようになっています。
値段水準 | TOPIX100構成銘柄の呼値 |
---|---|
1,000円以下 | 0.1円 |
3,000円以下 | 0.5円 |
5,000円以下 | 1円 |
10,000円以下 | 1円 |
それまでは、株価が数円にも関わらず1円単位の動きしかできませんでしたが、これによって0.1円単位での値動きに変わっています。下のチャートをみると株価推移が明らかに変わっていることがわかります。

天然ガスETF(1689)が簡単には売れないといわれるのはなぜ?
このETFが簡単に売ることができないと言われている(言われていた)のは主に以下の2点が理由だと考えています。
- 呼値が1円単位だった これは解消
- 短期的に少しの値動きで売買をしようとしている取引が大量
これには価格優先と時間優先のルールを理解しておく必要があります。どの注文から約定していくかに関しては、以下の優先順位になっています。(以下は売却の場合)
- 値段が低いほう(価格優先原則)
- 成行>指値
- 先に注文したほう(時間優先原則)
- 注文量が多いほう
JPX日本取引所グループ:用語集「時間優先原則」
JPX日本取引所グループ:用語集「価格優先原則」
つまり、同じ金額で売値がまとまっていると、早く注文しているほうが優先されるので売りにくいということです。下を見るとわかりますが、おそらく多くの人が1.2円で買って1.4円(以上)で売ろうとしています。当然売却注文を1.4円でいれていても指値1.4円で買う人がそんなにいない、いたとしても先の注文から約定していくので売りにくくなっているのだと思います。

上場廃止になるリスクは?
これは正直よくわかりませんでした。具体的な条件はJPXの有価証券上場規定(東京証券取引所)にありますが、量がおおく判断できず。。おそらく第1112条(上場廃止基準)の部分だと思いますが。。
ETFの上場廃止基準は個別株とも異なりますが、実際にETFが廃止されることもあります。株価や資産総額的な廃止基準にならなくても管理会社が上場廃止申請をすれば廃止になるようなので、可能性はゼロではないはずです。
ウィズダムツリー(Wisdom Tree)はどんな運用会社?
その運用会社であるウィズダムツリーは世界的に有名なETFの提供会社の1つでNASDAQに上場(ティッカー:WT)しています。ETFだけでなく、デジタルファンドやデジタルフォレットなどの開発も行っているそうです。

ウィズダムツリーで日本でも有名なETFは高配当系のETFやエマージング(新興国)系のETFなどが多イメージがあります。以下の画像はウィズダムツリーのサイトで紹介されているETF(一部)です。

ウィズダムツリー社のETF
ウィズダムツリーのETFをいくつか紹介します。
ティッカー | DHS |
名称 | ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド |
株価 | 80.56 (2023/03/16) |
純資産総額(百万米ドル) | 1,463.8 (2023/02/28) |
分配回数/年 | 12回 |
分配利回り | 3.85% |
経費率 | 0.38% |
DHSはウィズダムツリー・ディビデント・インデックスというインデックスのうち、利回りの高い銘柄に連動します。組入れ上位の銘柄はエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、アッヴィ(ABBV)など。

ティッカー | DGRW |
名称 | ウィズダムツリー 米国株クオリティ配当成長ファンド |
株価 | 60.64(2023/03/16) |
純資産総額(百万米ドル) | 7,638.09 (2023/02/28) |
分配回数/年 | 12 |
分配利回り | 2.10 |
経費率 | 0.28% |
DGRWは成長性があり、かつ配当がある程度多い銘柄で構成されています。上位構成は、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)など。

ティッカー | EPI |
名称 | ウィズダムツリー インド株収益ファンド |
株価 | 31.03(2023/03/16) |
純資産総額(百万米ドル) | 747.23 (2023/02/28) |
分配回数/年 | 4 |
分配利回り | 6.32% |
経費率 | 0.84% |
EPIはインド株に投資できるETFです。経費率は若干高めですが、分配利回りが高いので成長性と配当の両方を兼ね備えたETFです。SBI証券と楽天証券ではEPIは買付手数料無料ETFになっています。(2023/3/21時点)


天然ガスETF(1689)2023年の株価の見通しは?
これは自分の知識不足もあり、、はっきりしたことがわかりませんでした。ただし、基本的に先物(特にコモディティ系)ETFは中長期的な投資には向いていないと考えています。短期では上昇する局面もあるかもしれませんが、長期で見ればゲラする可能性は高くなりそうです。
先物価格とETFの関係についてはシンプレクスのサイトを見るのがいいのかなと思いました。先物商品の概要を理解するのに役立ちます。(こちらは原油ETFの話)
コンタンゴとバックワーデーション
まず理解しておく必要があるのは、先物のつなぎ足は連続しているように見えますが実際には次の限月など別のものを見ているということです。
もう一つが、先の限月(未来の先物)の価格によって「コンタンゴ」と「バックワーデーション」という2種類の状態があるということです。このあたりの説明は上のシンプレクスのサイトで詳しく解説されています。
状態 | 概要 |
---|---|
コンタンゴ | 先の限月ほど価格が高い |
バックワーデーション | 先の限月ほど先物価格が安い |
基本的に商品のように現物があるものは、現実的に保管コストなどがかかるため、その分価格が高く(つまりコンタンゴの状態)なりやすいようです。ただし、特殊な事情により直近での需要が高まればバックワーデーションの状態にもなります。
先物のロールオーバーコスト
先物を利用しているインデックス(ETF)の場合、実際には満期を迎える期近物[きぢかもの]を売って、期先物を買う必要があります。これはロールオーバー(限月乗換え)と呼ばれています。
コンタンゴの場合、ロールオーバーをすると安く売って高く買うことになるために先物保有量が減ることになります。これは過去に野村證券から原油インデックスと先物価格の乖離に関して説明した資料がわかりやすいです。(下図)
参考:NOMURA原油インデックスと原油先物価格の乖離について

このことが上でも紹介したガスETF(1689)とヘンリーハブガス先物価格でチャートに乖離が発生する原因になっていると考えられます。
【2023年】今後の天然ガス価格の見通しはどうなっているのか
では、今後の天然ガス価格の見通しがどうなっているのかというと、大きく言えばコンタンゴの状態がしばらく続くようです。

これがイコールETFの株価の下落とはなりませんが、先物価格との乖離にはつながると考えられるので、先物価格が上がるからETFの価格も上がるわけではないということは理解しておかないと大変なことになりそうです。
実際にガスETF(1689)を長期で見ると、株価が40分の1くらいになっているので、買い時というがほとんどない(極めて難しい)商品といえます。

【米国】天然ガス関連銘柄 天然ガスETF
最後に米国のガス関連銘柄をいくつか紹介します。とはいえ、天然ガスに絞ると種類はそんなにありませんでした。ETFの場合、エネルギー全般であればもっと多くの種類があります。天然ガスの世界的需要は高まってきているので今後増えるかもしれません。
ティッカー | 名称 | 概要 |
---|---|---|
CHK | チェサピーク・エナジー | 【時価総額:10,096百万USD】 米国を拠点とする探鉱生産会社。地下貯水池からの石油、天然ガス、天然ガス液の生産資産の取得、探鉱、開発など。 |
AR | アンテロ・リソーシズ | 【時価総額:6,729百万USD】 米国とカナダの天然ガスおよび液化天然ガス液の探査と生産など。 |
SWN | サウスウエスタン・エナジー | 【時価総額:5,533百万USD】 米国を拠点とする独立系エネルギー会社。天然ガス、石油、天然ガス液の探査、開発、生産、および天然ガスの収集や販売など。 |
GUSH | Direxion 石油・ガス探鉱 ブル2倍 ETF | 【経費率:0.95%、分配利回り0.66%】 S&P Oil & Gas Exploration & Production Select Industry指数のブル2倍ETF |
まとめ:簡単に手を出すのは危険なETF
いろいろと調べたことを紹介しましたが、私も先物を利用したETFを完全に理解できていません。ただ、長期的なチャートを見てもわかる通り、かなり難しい商品であることは間違いありません。
ガス先物価格が上がれば、ETFの価格も上がるというほど単純でもありません。ちょっと価格が下がったところで買って儲けようといった考えで手を出すのはやめたほうがよさそうです。
ありがとうございました。
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